急にまた緊張してきて、私は両手を重ねた状態でスカートをぎゅっと握った。
「うん、何?」
と遥さんが穏やかに訊ねた。
い、言わなきゃ……!
「えっと、子供のことなんですけど」
そこまで言って、言葉に詰まった。
恥ずかしさのあまり俯いてしまうのは私の悪い癖だ。
私は勇気を振り絞って顔を上げて彼を見据える。
「わたし……高校をちゃんと卒業したいです。だから、それまで子供ができるようなことは……」
ああ、無理。これ以上は顔から火が出そうだよ。
どんな反応が返ってくるか不安だったけど、意外にも冷静な返答があった。
「うん、わかった。それまでは、そうならないようにすればいいんだね」
あ、わかってくれたんだ。
ほっと安堵して遥さんの顔を見ると、彼は穏やかに笑っていた。
私は彼のこの言葉を卒業まではしないと受けとってしまったのだった。