「遥さん、彼女と知り合った経緯とか、好きになった理由とか、なんでもいいので言える範囲でどうぞ!」

 司会者の男子生徒の興奮ぶりがすごい。

 そして、カメラが遥さんに向けられる。


「彼女が4歳の頃に出会いました。ずっと、片想いしています」

 遥さんの返答に「きゃーっ!」と生徒たちの声が一斉に響いた。


 となりのドレス姿の女子生徒は「すごーい! 一途!」と声を上げた。

 小春は「やば……想像以上の純愛。メモしとこ」とスマホに打ち込み始めた。


「長い片想いですね。途中、気が変わらなかったんですか?」

 司会者の質問に遥さんは笑顔で答える。


「変わりませんね。一生、彼女を愛するつもりだったので」

 周囲の生徒たちが「きゃああああっ!!!」と今まで以上の歓声を上げた。


 私はもう、恥ずかしくて、まともに彼らの顔を見ることができない。


「やばいやばい! 今あたし、めっちゃキュン死しそう!」

 と小春が興奮ぎみに声を上げる。


「もう、いいよ……恥ずかしいよ」

 と遥さんを見上げると、彼はにこやかに言った。


「愛しているよ。いろは」


 盛り上がりは最高潮に達した。