その日の午後は気分転換に近所を散歩していた。

 勉強のこともそうだけど、相変わらず遥さんから連絡が来なくてもやもやしていたからだ。

 散歩していたらスマホに着信があり、もしかしてと期待してみたら母だったのでガッカリした。


「ママ、どうしたの?」

 自分でも素っ気ない言い方になってしまった。

 すると向こうからはいつものような陽気な声ではなく、酷く焦ったような様子が伝わってきた。


『いろは、すぐに病院へ行って』

「えっ……どうして?」

『遥くんが倒れて入院したみたいなの』

「ええっ!?」

 叫ぶと同時に、うっかりスマホを落としそうになった。


『今から病院の場所を言うから。ママもあとからすぐに駆けつけるからね』

 電話を切ったあと、家にも帰らずに、すぐに病院へ向かった。


 どうして? なんで?

 倒れたなんて、もしかしたらお仕事で無理しすぎたのかもしれない。

 それとも、私がワガママで家を出たから?


 もし、重い病気だったらどうしよう。

 ああ、わたし……もっと、ちゃんと彼と向き合って話をすればよかった。

 毎回電話で冷たくしたりなんかして……。


 本当は、嬉しかったのに!