「あの!先輩……これからは話しかけても、いいですか?」


「……俺に関わるな。」


去ってしまう背中に「待って!」と言った。

立ち止まる先輩。

ここで言わず、いつ言う!

がんばれ!自分!

そう意気込んだのに思ったように喋れない。

そんな私に「…迷惑だ」と、先輩は言った。

そのまま去って行く先輩を今度は引き止められなかった。

迷惑……私の気持ちは、迷惑…。

受け止めきれない現実に涙は出なかった。

これは、現実?

それとも、何かの悪夢?

…あぁ、わからない。


「先輩……この気持ちは、どうしたらいいんですか…ッ?」


誰もいない裏庭の静寂に呑まれる言葉。


「へぇ、あの子か……朝都が言ってた子」


その声が私に届くことはなかった。