放課後、先輩に屋上で待っていて欲しいと伝えた。

今、告白するわけじゃない。

でも、胸がドキドキしてうるさい。

ギィとおくじょの重い扉を開けると、既に先輩が待っていた。


「遅くなってすみません!!」


「いや、俺も今来たところ。…話って?」


「…体育祭の日、終わりに少々時間をいただけないでしょうか?」


スカートを握る手が強くなる。


「いいけど。…なんかあったのか?合同練習の時から浮かない顔だが」


先輩は、本当に優しいな…。

先輩にだけは迷惑を絶対にかけたくない。


「大丈夫ですよ!」


得意な嘘で固めた笑顔は、何故だか先輩の前では上手くできない。


「…っ!せん、ぱい?」


ふわっと先輩の匂いが近づいた。

な、に…この体制…!?

なんで、なんで先輩に抱きしめられてんの私!?


「無理にとは言わない。でも、辛くなったら俺のところへ来い。少なくとも俺はお前の味方だ」