「ちょっと梨耶!?東条様と仲良いの!?」


先輩が居なくなってから、友達の質問攻めに会う。

笑って誤魔化すが、内心ニヤニヤしてしまう。

…でも。


『…好きな人が居るそうだな。』


そう、お爺様は真顔で言った。

理事長室に呼ばれた時の話だ。


『…はい』


『そいつと結ばれたいのなら…分かっているな?出来ないと言うなら、転校の話も見合いの話も呑んでもらうぞ』


そう淡々と話すお爺様に感情と言うものなんてない。


転校も見合いも嫌だ。

でも、私に見合いで見込まれる膨大な利益を他の方法で生み出すことは出来ない。


「…最後に楽しい思い出作りしよう…」


「ん?梨耶、なんか言った?」


「ううん!何にもないよ!」


そう嘘で固めた笑顔で返した。