「まさかなぁ」


嶺緒がポツリと意外そうに言った。

俺はただ、外の風景を眺めるだけ。

最初は立場もあって、俺に関わったら皆んな不幸になると思っていた。

でも、有栖はこんな俺でも笑って側に居てくれる。

それがとても嬉しい。

でも有栖は…入学式のことを覚えていないのだろう。

俺はあの時からー。


「おーい、朝都!何ボーとしてんだ!」


「…別に」


「朝都さんが女といるの優里亜さんぐらいだからびっくりですよ」


「もしかして、好きなの?」


勝手に盛り上がる嶺緒達に若干呆れる。

好き、か…。


「さぁ、しらねー」


「え〜?つまんなーい」


「嶺緒さん、女子みたいですよ」


「柚琉ひど〜い!…まぁ、朝都。自分でしっかり考えなよ」


さっきまでとは雰囲気が変わり、真剣な物言いになった嶺緒。

言われなくたって考えてるっつーの。

考えなくていいなら、こんなに悩まねーし。