あの後、美那達が来たが、気を利かせてどこかへ行ってくれた。

あれから変わったことと言えば、毎日先輩が話しかけてくれるようになったことだ。

周りの視線は痛いが、先輩と話せることがすごく嬉しいから、そこまで気にならない。


「有栖、体育頑張ってたな」


「えっ!?見てたんですか!?」


「自然と目に入るだろ、あんな目立ってたら」


おかしそうに笑う先輩の顔は幼くて、可愛いかった。

前までの私に、先輩とこんなふうに話せるようになったと伝えれば驚くだろうなぁ。

先輩と話していると、好きだなと毎回実感する。

この幸せな時間がずっと続けばいいのに…。

告白するのを辞めようかな、なんて弱気になってしまう。


「あーれー?朝都が女子と話してる!?」


柄の悪そうな人達が集まってくる。

そう言えば、先輩って暴走族の総長…なんだったっけ?


「風紀委員の梨耶ちゃんじゃーん!俺、体育祭同じ色団の龍斗(りゅうと)!よろしくな!」