この前って…、…っ。

気に、してたんだ…。

先輩が少しでも私のこおを考えてくれてるのが嬉しくて、ニヤけてしまう。


「い、いえ!先輩もお立場がありますので、お気になさらないでくださいっ!」


大丈夫ですっという意味を込めて、満面の笑みで笑い返した。

すると、滅多に表情を変えない先輩が、頬を緩ませた。

不意打ちだった為、ドキッと胸が高鳴った。

か、可愛い…っ

何か、保護欲のようなものが込み上げてくる。


「正直、誰も巻き込みたく無いんだ。」


知ってる。

だって先輩は、誰よりも人のことを思いやれる素敵な人だから。


「私なら大丈夫ですよっ!護身術も身に付けてます!段持ちです!」


「そうか」


微かに笑った先輩の顔は、とても儚げだった。

きっと、今まで1人で抱え込んでいたのだろう……私の存在が少しでも先輩の居場所になれたのなら、とても嬉しい。

財閥の人間ともなれば、周りの期待の目を背くことは出来ない。

操り人形のように、ただ言うことを聞くだけ。