「はぁーー」


裏庭のベンチに座り、深い深いため息を吐く。

私、有栖 梨耶は昼休みに幼なじみの蓮見 直月(-はすみ なつき-)と清水 美那(-しみず みな-)に恋のお悩み相談をした。

そしたらーーー


『ふぅん。東条(-とうじょう-)か…』


直月の鋭い視線が私に刺さる。

『うっ』となってしまった私に美那は『まぁまぁ』と言う。


『美那ぁ〜』


『大丈夫大丈夫!体育祭でぶっ飛ばせ!』


なんて爆弾発言をする美那に『口悪くなってんぞ』と直月が注意する。


『まぁ、でも…東条はもう三年生だ。“来年は”なんて無理だぞ』


直月の言葉が胸に刺さる。

そこでチャイムがなりお弁当を片付け、教室へ戻った。

ーーーーー


「はぁぁぁ、私には無理だよ…」


「何が無理なんだ?」


突然聞こえた声に振り返る。

一瞬、息をするのをも忘れた。

だって…


「俺には言えないことか?…俺は東条 朝都(-とうじょう あさと-)、三年」