壁側を向いてベッドに横になっていた私だったけど振り向いて思わず飛び起きた。
だって清水先生がいたんだよ、息切らして立ってるんだよ。
「君は何をしているんだ!!何で病院に来ないんだ!!」
両親もびっくりして2階へとかけあがってくる。
だけど先生は構わず、
「この間のことなら謝る、無神経に傷つけてしまったなら謝るから…僕はかなの夢をどうしても叶えたいんだ!」
――――私の夢?
「かなは医院へ通い始めの時、作文を僕に見せてくれたよね?
私の夢は、20才になったら成人式で挨拶するって、お父さんとお母さんと周りのみんなに『ありがとう』って…伝えるんだって!
僕は嬉しかったよ、こんなに純粋に『ありがとう』って一言を大事に思っている子の手助けがしたいって、学生ながらに感じたよ」
…先生……
「だから、あと少ししかない時間の中でも声が出せるように手助けしていきたいんだ」
涙が止まらなくなった。扉越しに父の方で母も泣いている。
先生も泣いていた。
ごめんなさい、先生。
ありがとう、先生。
私、がんばります…。