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「気にくわないよな。あの転校生。啓一じゃ、当てにならないし」

 佳耶の気にも障ったらしい。もう今更、佳耶は私の前で優しい振りを取り繕ったりしない。
 無視された所為か、佳耶に逆らえないのか、愛美までが同調していた。

 散々、悪態を吐いた後、私の方をちらりと見た。また、新しい事を思いついたらしい。
 案の定、あの転校生と付き合えと言われた。

「え?」
 私は勿論、そこに居た皆が驚いた。特に愛美が忌々しいようだった。
「なんで、こいつなのよ」
 だから。私を睨んでもしょうがないでしょう。文句なら、佳耶に言って。
「あんたは無理でしょう」

 棚橋君を挟んでの、例のゴタゴタは、その時に居たクラス中が見ている。

 私としては、オヤジの相手をさせられるよりは、マシだと思ったけれど。

 甘かったな。

 それもやめさせなかった。それとこれは別らしい。
 佳耶達にお金が要るのは変わらないから。

 ただやりたいだけのオヤジが殆どだけど、触らせるだけで済むオヤジも居れば、女子高生と話をするだけで喜ぶ人も居たし。別に大した事じゃない気がしてきていた。どうでも良いって言うか、まあ。
 殺されそうになった事はまだ、無いから。



 ただ。
 付き合えと言われて、脇田君と、付き合えるわけじゃないけれど。
 女子高生と遊べるなら、何でも良いオヤジ達と違う。
 愛美でさえ無理だったのに、私なんかが、媚を売ったって、通じる筈が無い。