「安部さん…。自殺しようと、思ってた?」
「そう思って、持ってた」
「梨沙!」
母が、悲鳴のような声を上げて、飛び出して来た。慌てて、克己の弁護士が止めた。
「二人っきりにして貰う訳にはいかないんだって」
「うん」
判ってるすぐそばに居るって。
「それでも、安部さんと話したかったから」
「うん」
「克己は…?」
「え?」
「克己は、死のうと思わなかったの?」
杉原君達に、いじめられていたんでしょ?
「…俺は、死ねないから……」
「死ねない?」
どういう意味?
「……死ぬわけに…行かないから…」
「オレ、子供の時に妹が死んでるんだ」
だから、それがどうしたと言うのだろう。私と何の関係が有るのかと思った。
「オレのせいだ。オレが殺した……妹が………居た…」