包帯に巻かれた腕を首から吊って、大人の男の人に付き添われて。
 多分、お父さんじゃない。きっと、弁護士か保護司のような人。


 嫌だ。
   嫌だ。


 母が帰ってくれるように頼んでも、帰ってくれない。

 彼は被害者。私は加害者。
 だけど。未成年は、加害者の方が守られるものだ。

 克己が何にも言わずに見ている。私は初めて怖くなった。
「御嬢さんの為に彼は来てくれたんですよ」
 そう言われて、母は、頭を下げていた。
 どうして。どうして、そうなるの?
 私の傍に、克己が座って、大人達が、すこしずつ離れて行った。