それを知った、佳耶が私を突き出し、みんなの前で、里美に迫った。面白がってみんな集って来た。杉原君達にも、どうせ、佳耶から筒抜けだ。

「この子、妊娠したのよ。男なら、責任取りなさいよ」
 無理だよ。そんな事。
あり得ないもの、そんな事。

「馬鹿な事言ってんじゃない」
 里美の顔が見られない。
「そんな事、お前が一番判っている筈だろ」
 そのとおりだ。

 克己には気付いて私には目もくれない。
「それは、誰の子だよ。俺とは、一度も無かったじゃないか」

 佳耶が驚いた。
付き合っているなら、当然ヤッていると思っている。佳耶はそうなんだ。
付き合っていても手を出して来ない男がいるなんて考えもしない。

 きっとそう。佳耶達に会わされたオヤジの誰か。着けてくれなかった人は限られてくるけれど。
「俺と付き合ってたわけじゃなかったんだな。それとも、やってくれる男が欲しいか」


 まさかと思った。

 里美の口からそんな汚い言葉が出てくるなんて思わなかった。

「何にも知らないくせに」

 里美が、憎くかった。

とっくに諦めていたのに、
何も感じないようになっていたのに。
期待させたのは誰?
錯覚させたのは誰?


みんな……、私の所為じゃないのに!