「一葉、ついたよ」
一葉を背負いながらやっと家に着いた。
「……」
「着いたってば。起きて」
「ん……、凪く、」
ぼそり、と寝言のようなものを呟いてはいるものの、起きる気配が一切ない一葉。
手には俺があいつらから抜き取った学生証と近くの量販店のロゴが書かれたビニール袋を握りしめてる。
仕方ないからポケットにあることを予想して一葉のポケットに手を突っ込む。
あー、くそ。
一葉を背負ってるからかすごく手間がかかる。
……1回降ろすか。
床は冷たいから当たらないよう、壁と背中をくっつけて座らせるような感じで降ろそうとすると、
「っ、……離さ、ないで」
掠れるような一葉の声が聞こえた。