夢を、見た。


変な夢。凪くんが優しく私の名前を呼んで、頭を撫でてくれるの。


絶対にありえないって分かってることだったから、夢だってすぐに分かった。



わかってても、嬉しくて嬉しくて、目が覚めて欲しくなくて。


ずっと寝ていたいって思ったくらい。


凪くんの声のアラームも聞かれたらまずいから消しちゃってて。


だから案の定寝坊して。


朝起きると誰もいなくて、机の上には「起こしたけど起きなかった」という凪くんの達筆な文字。


ふふ。起こしてくれた、んだ。


あんな夢を見たのは凪くんが起こしてくれてたからなのかなって推測する。


「あー、‎覚めてほしくなかったなぁ」

言っても夢には戻れないから、慌てて学校の準備を始めた。