それでも、俺はあの女―――母親がいたから頑張れていた。


―――あの日。あの時までは…


母親は、疲れている俺に毎日好きな物を手作りして出してくれていた。


『翼ー!翼の好きなケーキよ!』


『翼ー、パウンドケーキ焼いてみたんだけどー!食べる?』


と言って、いつも元気づけてくれていた。


そのおかげで、俺は無理なことも嫌なことも頑張れていた。