自分を犠牲にしてまで、自分に傘を貸してくれたことがとても嬉しかったみたい


これがあの人を気になった理由


理科室に行くときだけ、ここの階を通れるからすごく貴重らしい


でも、最近たまに会ったときはあっちから声をかけてくれることがあるみたい


「あ、こっち来たよ、紗英」


「え?!ほんとじゃん?!ヤバヤバヤバヤバ前髪整ってる?髪の毛崩れてない?今ビジュわるい?」


「ちょ、紗英落ち着いて……って、あ…」


「な、なに?!何かわるいこ………」


「そんなに慌ててどうしたの?紗英ちゃん」


「り、りりりり理人先輩!」


理人?という先輩が紗英の事を呼ぶと、紗英は廊下中に響き渡るくらいの大声で呼んだ


「ははっ!そんなに大声で呼ばなくても十分聞こえるよ」


「だ、だって…まさか来るとは思わなかったので…」


「いやー、可愛い子いるなーと思ったら紗英ちゃんだったんだもん」