エピソード1.始業式

「奈央〜、早くしないと学校遅れるよ〜?」
「わかった!すぐ行く〜!」
「カバン忘れるんじゃないぞ〜!」
「わかってるよ!…じゃあ、
行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
「気をつけて行ってくるんだぞ?」
「うん!」
私、倉田奈央、13歳!晴れて中学校に今日から
行くで〜!楽しみや!

改めて、今日から中学校1年生!
ワクワクしかしないんやけど!
目指せ、学校内のアイドル!!…なんちゃってw
と、そこに…。げ、橋本美月!…何でいんの?
橋本美月。小学校から同じ学年で、自称お姫様(⁉︎)
自分の親をこき使ってるらしい。そうでなくても
ワガママなのに…、ていうか親はこき使う
もんじゃないでしょ!親の有り難みを
わかってない!…と、色々ツッコミ所満載の
自称お姫様。今日は男3人連れたっての
登校か…。確かに、見た目は可愛い。
黒髪ロングだし、今日はカールしてる。
目も二重だし…って、何勝手に美月の事
考えてるの私!?いやでもな〜〜〜…。
勿体無いんだよな〜、お姫様気質を治したら
男子にモテそうなのに…って、だ〜か〜ら!
そんな事を考えてたら…、
「あら、奈央さん、ごきげんよう。」
「…!?」いつの間にか隣に美月がいた。
「何やら険しい表情してましたけど、考え事?」
ギクッ。「いや〜、今日は天気がいいね〜、
あははは…。」
「…昨日も晴れてましたけど。」
またもやギクッ。…何でわかるかなぁ…。
「そういえば、今日は始業式ですね。
奈央さんもいい出会いがあるといいですね。
では、また後で。」と言いながら、男共を引き連れて
行ってしまった…。嵐のように去っていったなぁ…。
と言いながら、もうこんな時間!?
私は慌てて学校内に入った。
言うのを忘れてたけど、美月は勉強得意らしい。
クラス内でも、トップ10に入るくらいだ。
…そりゃモテるわ…。

始業式始まる前。
「えぇ!?美月、この学校に来るの!?」
「し〜っ、鈴声デカすぎ!」
と、声を荒げているのは、佐藤鈴ちゃん。
…何でちゃん付けするかって?
そりゃ、見た目が幼いからよ。
しかも身長も小さい!中学生に見えないし!
「そっか〜、美月がこの学校か〜、
自称お姫様のプライドどこにいったんだろ。」
「美月がこの学校がいいって言ったんじゃないの?
知らないけど。」
「いいな〜、テストではいい点とるくせに、
こんな偏差値低い学校選べるなんて。
…あ、そっか。自分よりも低レベルの人間を
見下したいんだ!」
「…鈴、言葉が汚いよ。」
「あはは〜、ついうっかり。」
そう、鈴は放っておくと言葉が汚くなるのだ。
「うん、まぁ、いいじゃないの!」
…いや、よくないでしょ。どうしたら鈴の
言葉の汚さが治るかなぁ〜…。
そうこうしてるうちに、始業式が始まった。
(ねぇねぇ奈央、始業式のおじさんハゲてるね〜w)
(言わないの!好きでああなってる訳じゃないから!)
(でもさ〜w)…とその時。ゴンッ!
「痛った〜!誰?私の頭叩いた奴!」
「私ですよ。」
「あ、さっきのハゲたおじさん!」
「…校長先生です。何ですか、女の子が汚い言葉
使って!少しは人の気持ちを考えて発言しなさい!」
「…はぁい。」と言う鈴。ナイス校長先生!
「…ねぇ奈央、あのハゲたおじさん嫌い…。」
「鈴さん、なんか言いましたか?」
「何でもない!」あ、ほらまた…。
ちなみに、気になった人もいると思うから言うけど、
始業式っていっても数人しかいないんだよね…。
1クラス10人程度…、か、悲しすぎる…。
それもそのはず、この学校は特殊!
精神の病気を持ってる人が行く学校!
…それでも10人は精神障害の人がいるのね…。
私も精神障害児!だからこの学校に
入ったんだ!…私的には普通の学校に
入りたかったけどね…。
…あれ?じゃあ美月は何で入れたのかな?
美月は成績優秀なのに…。ま、いっか。
いつかわかるようになるよ、きっと!

始業式も無事に終わり。
「今日から楽しみ!」
「ぜぇんぜん楽しくないよ〜、だってハゲたおじさんのいる学校なんて楽しくない〜!」
「…鈴はとことん校長先生嫌いやん…。」
と、他愛もない話をしていると。
ドンッ!「あ、ごめんなさい!」
と、知らない男の子にぶつかってしまった…。
「…いや、平気。」とだけ言って去っていった。
「…何あいつ。奈央、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。…それにしても誰だったの
かな?さっきの男の子。」
「誰だろ〜…、あ、もしかして、新しい子!?」
「そうかもしれない!…同じクラスだと
いいな〜…。」
「何で?」「だってぶつかってしまったし、
これって何かの縁かも!…と思って。」
「…とか何とかいって、あの男の子が
気になるんじゃないの〜?」
「そんな事ないよ〜、はは…。」
「またそうやって誤魔化す〜。そんなんじゃ
いつまで経っても恋人できないぞ?」
「…それとこれとは違うような…。」
「まぁ、いいじゃないの!」