両親も仲がいい二つの家族。
何かするときはたいてい一緒だったような気がする。
男友達はもちろん女友達も人並みに存在した俺の唯一の特別な事が里沙の存在だった。

周りは俺を羨ましい目で見た。
里沙は顔も性格もいい方に入るはずだから。
だけど、里沙が誰かと付き合っただの、そんな姿を見たこともないし、噂で聞いたこともない。

きっと里沙は付き合いを求めないタイプなんだろうとその時は流した。

まぁ真実はなかなかわからないものなんだろう。
もどかしさすら生まれないこの性格はちょっとだけ考え物かもしれないと自分一人の世界に入ってた頃だ。

「剛!行ったぁ〜!捕まえて!」

何やら叫ぶ聞き慣れた声に顔を声のした方に向けた。


行った?捕まえて?…まさかね。