「――では、レポートを出入り口のカゴに入れて終わりになります」
そう教授が言い、一斉に皆が席を立ちカゴに入れて講義室から出て行き始めた。私も最後にならないようにリュックに教科書などを入れて急いでレポートを提出すると講義室から出た。
出てリュックをちゃんと背負って歩いていると「芽依!」と名前で呼ばれる。その声が誰かなんてすぐに分かり振り向いた。
「綾人、おはよう」
「おはよ〜芽依」
私、百々瀬芽依はA大学の二年生。そして、この声を掛けてきたのは本山綾人といって家が隣の幼なじみ。彼も同じ大学で、学部は違うけど履修する科目が同じ講義室が多いためにたまに重なるので大きな大学内だけど会う。