「……まだ小さい雪のこと、どうやって守ればいいのかわからなかった。




……、雪のお母さんは優しい人だったって、お父さん昔、言ってて。





だから、雪のお母さんの記憶を、私のお母さんにすり替えちゃダメだと思って。



ただ、体に見える傷をつけさせないようにするしかできなかった。」







…雪の心まで、守れなかったんだよ。











「姉ちゃんも、小さかったんだよ。





なのに僕のこと、あの人から守ってくれて、




だから姉ちゃんはいつも傷だらけで、」






それは







「そんなの、……そんなの当たり前じゃない。

雪を守れる存在は私だけで、私が守りたいと思う相手も、雪だけだったの。

ただ大好きで、

だから守りたくて、


それだけなの。」





声が掠れて情けないことしか言えなかった。







「……僕が守りたいと思う相手も、姉ちゃんだけだったんだよ。

大好きで、いつも助けてくれて、弱音を吐かない姉ちゃんのこと、あの人は、いつも、いつもいつも傷つけて、


僕だって苦しかった。


あの人に言われる言葉より、姉ちゃんが僕の身代わりになることの方が、しんどかったんだよ。」











……うん





それも多分わかってて。





雪が私のこと心配してくれてるの、わかってた。






わかってたけど、どうしようもできなかった。