何の躊躇いもなく、真っすぐと向けられる眼差し。
いつだって彼は、私を最優先に考えてくれる。

「まっ、知っての通り、俺は執念深いからな。簡単には諦めねーし、望んだものは必ず手に入れる」
「っっっ」
「惚れ直すだろ」

余裕と言わんばかりの色気のある顔。
昔から、何一つ変わってない。

匠刀が言うと、本当に何でも叶うんじゃないかと思えてくるよ。

だって、あなたと一緒にいて、できないことなんて一つもなかったから。

**

「キャアァ~~ッ、ちっちゃくて可愛いっっっ!!」

産婦人科に到着したら、既に赤ちゃんは産まれていた。

3015gの女の子。
新生児室に並べられたベッドに『津田 雫』と書かれたネームバンドを足首につけてる赤ちゃんを発見。

虎太くんは雫さんのそばにいるらしくて、新生児室の前に両家のご両親がいる。

「おめでとうございます」
「ありがとう、モモちゃん」

匠刀のご両親にお祝いの言葉を。
両家初孫というだけあって、皆幸せそうに赤ちゃんを見ている。

もとちゃんの赤ちゃん(男の子)も可愛かったけど、女の子はまた違った良さがあるというか、
本当に生まれた時から、顔の雰囲気が女の子らしくて可愛すぎる。

「匠刀、おじさんになったね」
「オジサンじゃなくて、叔父さんな」
「フフッ」
「っんだよ」

照れてるのが分かる。
やっぱり赤ちゃんって不思議な力を持ってるよね。
いつもは涼しい顔で余裕そうな匠刀が、今はちょっと可愛らしく見えるよ。

「桃子」
「……ん?」
「俺らも子づくりすんぞ」
「ッ?!!……ちょっ、何こんなとこでいきなりっ」

すぐ傍にいる、匠刀のご両親と雫さんのご両親が驚いて振り返ったじゃない!!

「プロポーズしてんだけど」
「………はぁぁあっ?!」
「匠刀、今のはさすがにねーぞ」
「虎太くんっ」