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「えぇ~っ、じゃあ、6年も遠距離恋愛してるってこと?!」
「それ、修行僧じゃん」
「モモの好きな人って、遠距離の彼氏さんだったんだぁ」
「……」
「そりゃあ、こんだけ可愛い彼女がいたら、合コン誘っても来るわけないわな」

何の悪戯なのか。

もしかしたら。
奇跡があるなら。
運命があるならと思ってたけど。

本当にそれらが現実になるだなんて。

今、私の隣りに、匠刀がいる。

真央に拝み倒されて、6年ぶりに東京に戻って来た私の前に。
本当に奇跡としか言い表せないような状況で。

最愛の人と再会を果たした。

自分から去るようにして、匠刀を捨てたような私は、合わせる顔がなくて。
友人たちと匠刀の友人たちの会話に相槌を打つことすらできずにいる。

昔から世渡り上手な匠刀は、6年という歳月を微塵も感じさせないほどフランクで。
友人たちに上手く説明しながら、時折優しい笑みを向けて来る。

その度に胸がズキンと痛む。

なじられて。
怒り散らして。
軽蔑されても当然なのに。

彼はあの日と変わらぬ態度で、私の隣りにいる。

しかも、テーブルの下で、ずっと手を握ったまま。

いつの間にか席移動もされてて。
隣りに座ってたはずの真央がテーブルの向かい側にいる。

『モモの好きな人って、遠距離の彼氏さんだったんだぁ』
真央が要らぬことを言うから、私の気持ちがバレちゃったじゃない。

「桃子、今日実家に泊まるの?」
「……ううん、みんなと一緒にホテルだけど」
「……そっか」

6年ぶりに帰省したと思ったよね。
だけど、それを打ち砕くみたいな返答でごめんね。

まさか、本当に会えるとは思ってもみなかったから。