―――古家苺佳(ふるいえいちか)28才と大林瑤子(おおばやしけいこ) 26才 ―――




「お話して、仲良くしてねって言ってもらったー」

「そうなんだ。もうお友達、できたのかー、良かったな」

「むふふふ。うんっ」


 母親は私に冷たく・・・なのに娘同士は友達かぁ~。
心中複雑だが比奈がいいなら、よしとしよう。

娘に仲良くしてくれる友達ができたことは喜ばしく気分が上昇した為、
先ほどのモヤモヤした気持ちの深層に分け入ってみようとした気持ちも薄れていった。


◇◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「忙しいのにありがとう。助かっちゃった」

「お疲れ様、君も疲れたろ?」

「慣れないから、少しね」

「眞奈、保育園どうだった?」

「友だち、できたよ」

「そりゃあよかった」

 話をしてるうちにあっという間に家に着いた。


「また、仕事に戻るよ」

「うん、気をつけて」

「パパ、いってらっしゃい」

 夫は眞奈に手を振り、職場に戻って行った。


 入園式からの帰りはタクシーを呼ぼうかなんて考えてたんだけど、
仕事を抜け出して英介さんが迎えに来てくれた。



 バス通園の保育園で徒歩での家までの距離は超微妙。

眞奈にはちょっとキツイ距離。

できれば来てくれるという話だったけれど、あまり当てにはしてなかった。

なので、やっぱり英介さんの顔を見たらほっとした。



 カッコ良くてやさしい自慢の夫。

ちょっぴり残念なのは、仕事が忙しくてなかなか家族一緒の時間が取れないこと。


 私は幼少時より親が仲良くしていた家の男児と婚約していた。
それが夫の英介さん、って言いたいけど、それは英介さんの実弟で俊介くんだった。


景山俊介。

紆余曲折あってその俊介くんの兄である英介さんと結婚したんだよね。