―――古家苺佳28才と大林瑤子 26才 ―――
◇診察(初めての出会い)
「先生から、前回受けていただいた検査結果のお話がありますのでどうぞお入りください」
と待合スペースに座って待っていた私の元へ、やさしそうな看護師が声を掛けに来た。
私は促されるまま静かに部屋に入り椅子に腰掛けた。
「こんにちは。宜しくお願いします」
コンピューター画面に視線を向けている先生の横顔に向かって挨拶をした。
「古家さん、残念ながら現状では脚の完治は見込めません。
このような説明自体もおかしなことにはなるのですが。
・・というのも、様々な検査をして出たデーターを見るとですね、見た目に反して
どこも異常なしと出てるんです。
・・ということは、病理が不明、もしくは無し、であるため、
治療のしようがないということになります」
目の前の寡黙かつ飄々としたイメージのある中性的でどちらの性からも注目を浴びそうな
見目麗しい医師から、私はある意味絶望的な見解を告げられた。
私への説明の間、医師は終始ほぼ画面を見たままの状態で最後にチラリと私を一瞥したものの、
治らないと宣言されたような者の私に対して何の感慨も持ち合わせてないというのがダダ漏れだった。
治らないと知らされ途方に暮れた私の独りよがりな受け取り方なのかもしれないが。
診てくれる先生が我関せずだろうが親身だろうが、私の脚の病気が治らないという結果は
変わらないのだ。
そんな思いをあれこれ抱え、その日私は帰途についた。
検査結果に異常がなく病理が不明と言われましても、実際脚は足首から上に向けて
色が通常の肌より色濃く変色しており、時として内部には何かの塊でも育っているのかと
思えるような、例えるなら脂肪の塊のようなものが出現したりするのである。
これで病気の根拠がどこにも見当たらないと言われても到底納得できるわけがない。
しかし、最悪のことはひとまずないということで安心している自分もいる。
肉片を切り取るという手術までしての検査。
良いように受け取ろう。
病気は脚に訊きながら・・寄り添いながら・・気長に付き合っていこうと決めた。
気持ちが落ち着いたところで、ふと浮かんだのはやはり独特の雰囲気を持つ
皮膚科医のことだった。
◇診察(初めての出会い)
「先生から、前回受けていただいた検査結果のお話がありますのでどうぞお入りください」
と待合スペースに座って待っていた私の元へ、やさしそうな看護師が声を掛けに来た。
私は促されるまま静かに部屋に入り椅子に腰掛けた。
「こんにちは。宜しくお願いします」
コンピューター画面に視線を向けている先生の横顔に向かって挨拶をした。
「古家さん、残念ながら現状では脚の完治は見込めません。
このような説明自体もおかしなことにはなるのですが。
・・というのも、様々な検査をして出たデーターを見るとですね、見た目に反して
どこも異常なしと出てるんです。
・・ということは、病理が不明、もしくは無し、であるため、
治療のしようがないということになります」
目の前の寡黙かつ飄々としたイメージのある中性的でどちらの性からも注目を浴びそうな
見目麗しい医師から、私はある意味絶望的な見解を告げられた。
私への説明の間、医師は終始ほぼ画面を見たままの状態で最後にチラリと私を一瞥したものの、
治らないと宣言されたような者の私に対して何の感慨も持ち合わせてないというのがダダ漏れだった。
治らないと知らされ途方に暮れた私の独りよがりな受け取り方なのかもしれないが。
診てくれる先生が我関せずだろうが親身だろうが、私の脚の病気が治らないという結果は
変わらないのだ。
そんな思いをあれこれ抱え、その日私は帰途についた。
検査結果に異常がなく病理が不明と言われましても、実際脚は足首から上に向けて
色が通常の肌より色濃く変色しており、時として内部には何かの塊でも育っているのかと
思えるような、例えるなら脂肪の塊のようなものが出現したりするのである。
これで病気の根拠がどこにも見当たらないと言われても到底納得できるわけがない。
しかし、最悪のことはひとまずないということで安心している自分もいる。
肉片を切り取るという手術までしての検査。
良いように受け取ろう。
病気は脚に訊きながら・・寄り添いながら・・気長に付き合っていこうと決めた。
気持ちが落ち着いたところで、ふと浮かんだのはやはり独特の雰囲気を持つ
皮膚科医のことだった。