「ごめん一浩。俺、どうしても千秋のことが怖かったんだ」


そして豊は自分が香水を万引したことも告白した。
すべてを聞き終えて一浩は脱力して椅子に座り込んでしまった。


「なんだよそれ、万引ってよぉ……」

「そ、それは、私のせい、だからっ」


珠美が引きつけを起こしてしまいそうな状態で語りだす。
豊から告白されて舞い上がってしまったこと。

豊の気持ちを試すために無茶なお願いをしたこと。
その結果、千秋イジメにつながってしまったこと。


「なんだよそれ、そんなことで俺はあそこまでしたのかよ」


一浩は自分の両手を見つめる。
自分が千秋へしてきてしまった数々のイジメを思い返しているのかもしれない。


「だけどそうだな。俺だって豊の言葉を鵜呑みにする前に事実確認をすればよかったんだ。そうすれば、千秋がカンニングなんてしてないって、わかったのに……」


一浩は見つめていた両手で頭を抱える。
どれだけ後悔しても過去を変えることはできない。