「うん。夜中にみんなでここにいたよね?」

「やっぱり、あれは夢じゃなかったんだよな?」


一浩の言葉に奈穂は唸るような声を上げた。
夢じゃなかった……と、思う。

だけど断言はできない。
昨日の出来事はあまりに現実離れしているから、夢だと思った方がずっと現実的だった。


「この教室に4人で閉じ込められて出られなかった」


珠美が思い出したように身震いをした。


「そうだね。床を破ってみたらそこには暗闇が広がってた」

「そうだ。どこにも出口なんてなかった」


豊が同意する。
ここにいる全員が同じ夢を見ている。

寸分たがわぬ悪夢を。


「チョークがひとりでに動いて黒板に文字を書いて行ったの」

「時計の動きがすごく遅くて朝が来なかった」

「ナイフが俺の手に張り付いて離れなかったんだ」