どこからか視線を感じる。
ジッとこちらを見つめている。

奈穂の手が動いた。
ナイフの先端が首に当たる。

ヒヤリとした感触に鳥肌が立った。
思わずナイフを取り落してしまいそうになるけれど、もうナイフは奈穂の手から離れなかった。

泣いても叫んでもこれで終わり。
これで全部が、終わり……。

首にナイフが突き刺さる。


「キャアアア!」


痛みと恐怖で悲鳴がほとばしり、同時に急激な眠気が奈穂を襲った。
椅子から横倒しに倒れ込んで大きな音を立てる。

そして意識が遠のいて行く瞬間、ようやく千秋の声が聞こえてきた。