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その日、1度家に帰った奈穂はキッチンに立っている母親から牛乳を買ってくるように言われて再び外へ出ていた。
右手にはエコバックと小銭の入った財布。

向かう先は大きなデパートだった。
近所には小型スーパーもあるものの、奈穂の家でいつも飲んでいる牛乳はデパートでしか売っていない商品だった。

白くてピカピカ光っている自転車にまたがり、軽快にペダルを踏む。
太陽の光はまだ優しく体を包み込んで、肌にあたる風も心地よかった。

これからどんどん気温が高くなってくるんだなぁと思うと、今からうんざりした気持ちになってくるけれど、今はその心地よさに目を細めた。

たどり着いたデパートの地下へ向かい、お目当ての牛乳をカゴに入れる。
ついでにチョコレートの試食を楽しんでレジへ向かった。

デパ地下では夕方頃から頻繁に試食を出しているので、奈穂はお使いをふたつ返事でOKしていたのだ。