パパパパパア〜
一台のバイクが雨を写すよかのように街頭を眩く照らした、
「危な」
優人がハッとして咄嗟に叫ぶ
バイクは族の様でパラパラパラと音を立てて何台も入って来た

すると頭らしき人物がプイプイと顎を振ると連なっていたバイクは通り過ぎていった。

爆音が遠くなり雨の音が響く頃
ようやくバイクの彼はミオに聞いた。

「アンタ、何してんだ」
ヽ`、ヽ``ヽ、`ヽ、
ザーザと雨は降り続く
、ヽ`、ヽ`ヽ、`ヽ、
・・・

彼は身長は180くらいでヘルメットを取り首をブンブンと振った。
雨粒が弾け飛ぶ
カラスの濡れ羽色のようにテカテカとした髪も雨で撫でられていた。


歳は19か20の様に見える。

ミオは彼の質問に応えない

「大丈夫か?」優人が彼を危ない人物と反応して駆け寄り、ミオを助けに声をかけた。

グリースで髪を固め、サングラスをかけた族の頭な彼は近づく優人をギロリと睨んだ
その目に優人は怯み立ち止まる。

「アンタの彼女か?
女泣かせるなんて最低だな!
しかもこんなゲリラな雨の道で」
ザーザーヽ`、ヽ``ヽ、`ヽ、

族の頭な彼はミオに近寄り手を引いて立たせようとしてくれる。
俯き「ヒックヒック」と喉を詰まらせながら泣くミオをヨイショと立たせた

「あのひとは彼氏じゃない」
ミオの蚊の泣くような声は雨でかき消されそうだったが頭な彼には
聞き取れたようだった。


「・・・じゃあアイツ友達?」
ブンブンとミオは首をふる
そんな答えに優人もなんと言っていいか分からない。

「え?あ、あぁ」
優人も気まずそうに呟いた。


「あんた誰」
頭な彼が優人に言うと



「君こそだれ?」

質問に質問で返されムッとした顔で応える。
「俺は黒虎(クロコ)族、総長西尾冬華」


「君、暴走族だよね」
優人が冬華をジロジロ見て問いかける。
この手の友達は優人にはいない。


「は、このバイク、普通に見えないっしょ、喧嘩もしたし、ぶつけ合いもした笑笑かなりの族車
名前からして族!!」

優人も彼を睨みつけ
「そんなキミに彼女は任せられない
俺が送るから・・・」


「ふーん、警戒してるんだー
俺の事」

冬華はミオの耳元で
 「・・・だってヨ
アンタどうする?」


冬華はミオを脇に抱え込み顔を覗き込んでミオに聞いた。

冬華は、初めてミオの顔を見た
丸い黒い目、ほっぺが丸くポテンとした唇で色白、化粧っ気もなく
ってか、スッピン?

「オ、可愛いじゃん」
ポロリと口からこぼれた。

「帰ります
ありがとう。」

水溜まりを弾きながらポテンポテンと歩き出すミオ、冬華にも優人にも頼らず歩き出した
降り止まない雨の中、冬華と優人は
ミオを見つめつつ見送っていたが

ブルブルブルルルン
けたたましい音を鳴らしバイクはミオに近ずいた
冬華はメットを取り出しミオに被せた
「俺がスッキリさせてやる」

嫌がるミオをバイクに乗せ冬華は
優人に聞こえるように爆音を吹かし雷とコラボするように走り去った

「ギャャャーヤ、コ、コワイーイ」

ゴロゴロ⚡️ドッカーン
ビカビカと走るイナズマ
ヽ`、ヽ``ヽ、`ヽ、ヽ`、ヽ`⚡`ヽ、`ヽ、
ブオンブオンとギアを入れて
猛スピードで走り出す
「は?シッカリ捕まってロ
ぶりおとすゾ」
ヽ`、ヽ``ヽ、`ヽ、
「イ、イヤァアアアアー」

ミオの濡れた身体が冬華の背中を温めた、前に回されたミオの手が
冬華の腹筋をチクリチクリとひねりあげる。

「ウッウッ、イタタイタタ
ひ、ひねるなー」

ヽ`、ヽ`ヽ`、ヽ``ヽ、`ヽ、`ヽ、`ヽ、ヽ`、ヽ``ヽ、`ヽ、

「だってだってコワイ
おろしてぇー」

チクリチクリの痛みに耐えられず冬華は速度を落とす
するとミオは安心したのかチクリをやめた。

ヽ`、ヽ``ヽ、`ヽ、
ヽ`、ヽ``ヽ、`ヽ、
超スピードだったから速度を落したバイクがノロく思えたのだ!!
高速を降りた感じと同じ

しばらく走るとコンビニがあったそこでミオは自分の車を置いてきた事に気づいた、頭いっぱいいっぱいでスッカリわすれていた。


「ご、ごめん
家までお願いしても良いかな?」
すまなそうにミオが言うと


「OK」
彼は軽いノリで答えると道を指さし

「どっち❓」そう聞いた

「もちょっと走って右👉
ゆっくり走れば10分くらい」

とミオはアッチと言わんばかりに
指を向ける。

その頃は小雨に変わり雷のドカン
ドカンと地を割るような音は遠くに
聞こえていた。

目立つ黄色いレンガ風の建物にピンクの屋根、マーガレットマンションとローマ字で書いてある
如何にも女の子が好きそうな物件だ。


時間はpm22時を回っていた
冬華は濡れたままマンションを見上げた、そんな彼にミオが言う

「上がってください」

冬華は唖然としたまま口を開く

「は??本気で言ってる?
一人暮らしでしょ
意味分かってんの?」


「え?だって濡れたまま帰すなんて出来ないじゃない
シャワーでも浴びてよ」


「いや、帰るよ
アンタこそ早く風呂入ったがいい。」

「じゃあせめてお礼をしたいから
LIN〇交換しょう」
ミオが言うと少し曇った顔をした。

「チッ」
短く舌打ちをすると携帯を取り出しパパパッと操作した

「早」

「今日は、変なとこ見せて
ごめんなさい
ありがとう、御礼は必ずするから」


「いやいや、御礼なんていいよ
俺がしたくてしたんだからサ
それより、御礼がしたいなら
連絡しないでくれる?
苦手だし、ストーカーされても困るし」


「は?
はいいぃぃぃ?」
ミオは意味が分からずアバンギャルディのように180度首を曲げる

「じゃあヨロシク!」

ブオンブオンブオオ━━━━━ン
と爆音を鳴らし冬華はバイクを走らせた。


あの雨はなんだったんだろうと思わせるような夜空には星が見えた

ブルブルと寒気が襲って来る

「アイツもナルシストぽい
連絡しないのが御礼と言うなら
そうするしかないか!」

しかし陽向汰の事はスッポリと
忘れられたから仕事頑張ろう
これがショック療法かスッパリ
日陽向汰を諦められそうだ!


友人は口々に言った
ミオ都合よく使われてんじゃない?
もう諦めなよ
アンタ頭おかしくない?

そんな言われても陽向汰に費やした学生時代の約2年、そんなに簡単に諦められなかった。


「ミオ飲みに行くから送って」

「ミオ、迎えに来て」

「ミオ、アレ買って置いて」

「ちゃんとアイロンかけて
持って来て」

陽向汰は寝る前だろうが何時だろうが、用があればミオを呼ぶ

モチロンミオも

「え?タクシー使いなよ」

「迎え、もう寝るばかりなんだけど・・・」


「またぁ、自分で買いなよ」

「アイロンかけるのキライなんだけど」

陽向汰は
「分かった、悪かったナ
別の女の子に頼むワガママチャン」
「は?
ワガママなのか?私?⁉️」

洗脳されてしまって何がどうなのか分からなくなっている。

電話を切る音にせめられた気がして
ミオから折り返しの電話をする
「モシモシ 分かったから、ちゃんとやっておくよ。」

ハイ又勝負ついたミオの負け
ミオは渋々承諾する。

そんな尽くしに尽くした2年
しかし想いは断ち切れたような気がする。


この日からミオは又ガリ勉ミオに戻った、頭はすこぶる良
小学生の頃からトップ
今の大学も世間では難しいとされているが難なく楽勝でクリア
自分には恋愛なんて無理と分かったし・・・

陽向汰に費やした時間と金は高い勉強代、無駄じゃなかったと思いたいじゃないの




族車を乗り回すオレら
車道を乗り回す。
この時間帯は車も少なく風を切るように走る気持ちイイなんてもんじゃない!

俺は小学生の頃、細くて病気ガチでイジメっ子から目をつけられていた高学年になればなるほどそれは酷くなっていた
ガン無視、教室の隅で本を読んでいると窓から本を投げられた

体育服を破かれたり、靴を隠されたり毎日泣いてばかりいた、そんなある日、いつもの様にボコボコにされゴミ収集の臭い場所で泣いていると

「お前、疲れないか?」
そう声を掛けてきたのはサングラスをかけ、リーゼント風の頭に、白い族着を着てバイクに乗った黒虎の総長だった。

総長は冬華を見ると情けないと言ってサングラスを上げ眉無しの細長い目をして見てきた。

オレは彼が怖かったが別に又打たれても、たいして変わらないと思った。

「オマエ、そんだけ打たれたら
ボクシングでも出来そうだな
どうせ打たれるならうち返せ‼️
オマエみたいなナヨナヨしたヤツはイジメられてもしかたねぇな
一生そうやって生きていくのか?
それがオマエの人生か?」



「一生・・・」

そう呟いた俺に総長さんは
頷いた。
「ああ、一生ボコられて泣かされてメソメソ、つまんない人生だなぁ、可哀想によ」


「い、嫌だー嫌だー」
気付くと俺は又泣いていた総長は

「お前なぁ人が変わるのを期待するな
自分が変わらないと何も変わらない、いいか飯を向いが見えなくなるほどてんこ盛りにしろ、親が出してくれた飯は残すな、先ずは身体作りだ、それから毎日10キロ走れそしたら自分から変われるぞ
俺を信じろいいな!それから泣くな!」

そう言うと総長はブオンブオオブオンブオオーンとパラパラパラと
走り去って行った。

そして時々俺とすれ違うとブオンブオオーンと音を立ててくれた
今思うと俺を気にして見に来てくれたんだろう。

体も体力もついた所でジムに通い始めた、そんな俺は、密かにイジメた連中をボコボコにする計画を立てた、今の俺ならできる確信がある。
偶然会った総長に(多分偶然では無い)ボコる事を話すと

「日にちと場所教えろ」

と言われた。



相手は6人
もう負ける気は無かったから教えた6人は土曜日ゲーセンに行く
その帰りを狙う

そして土曜日が来た
時間は16時、奴らは公園でダラダラとしていた、わざとらしく下を向いて通りがかると

「オイ、アイツ冬華じゃん」

「お。冬華、冬華」
6人は回りを囲むように素早く集まった。

「冬華、俺達、腹減ってんだよ
コンビニでなんか買ってコイ」

俺はこの日を待って、奴らのイジメにずっーと耐えて来た

「嫌だね、自分で買えよ」
思いもよらない俺の言葉に

「ん、だとぉ俺らに逆らっていいのか‼️」
イジメのボス竜也は俺を一発殴ってきたそれを合図に6人が飛びかかる
俺はそれを交わし今までの恨みとばかりに体全部を使って仕返しをしたゴツゴツと音がする程ぶん殴る、奴らの襟元を掴みヅヅキしながら足で蹴り倒し、違うヤツのみぞおちを回し蹴り上げる
ウオッゲホ ゲボ

毎日欠かさずジムに通った喧嘩はいけないらしいがオレはまだ小学生
身を守る自己防衛

奴らはビキタンが𓆏伸びたようにバタバタと道に広がる


初めての本気の喧嘩
ボコボコにノシた。
はぁはぁはぁ息切れがして
拳には血がしたたる

「ほほうー、やったな小僧、
オマエ変われたなぁ、
目つきも変わったな
こんなゴキブリとはもう喧嘩
するなよ、」

総長はヤツらに睨みを効かせて言った。

「オマエらよ、
警察に言ったらこの動画流すゾ、先に手を出したのは
コイツじゃない お前達だ
特にオマエは」

そう言うと総長は竜也のデコを押し付けて
「オマエも変わらねーと、ろくな
人生おくれねーぞ
あんま恨みかう様な行動はスルナ」

そう呟くと二十人はいただろうか
ブオンブオオーンと幾つもの割れるような爆音を立てた、そして
総長が顎をクイッと上げると合図なのか、又爆音を上げて走り去って行った。
まだ蝉の音が鳴り止まない夏休みの公園での出来事だった。


「総長さんが言うかな」
俺は少し笑った、竜也達は泣いていた、そんなヤツらを置いて俺は
胸を張って家に帰った。

「ざまぁwwww」

その次の日から奴らは俺を見るとコソコソと逃げ出した
総長の言うとおりゴキブリそのものだった、
オレへの仕返しを竜也は企んだが竜也に続く者はいなくなっていた
竜也はひとりじゃ何も出来ない奴だった。

気付くと竜也は学校に来なくなった
因果応報と言う言葉をネットで知った。
同情はしない体育服破かれたり教科書を捨てられたり
ボコられたりオレも何回も病んだ、今度はお前の番だ
俺は親に心配かけないためにイジメにあっても休まず学校へ行った

当時は母子家庭だった母親の
泣く姿は見たくなかったからだ、心配もかけたくなかった。

父親を亡くして母はいつも泣いていたグスングスンと鼻をすする泣き声はオレをも弱くさせる

これ以上は泣かせたくなかった
総長に出会って変われた。
強くなる努力をしなかった俺にもイジメの原因はあると言われた気がした。
それから中学2年になるまで母親は泣いていた気がする
今の継父と出会うまで!
母親は1人で俺を育ててくれた
色々、葛藤もあったんだろう
グレたと言えばそうだけど白黒ハッキリさせる総長さんに会ったから真面目なヤンキーだったと思う

総長への感謝と憧れと尊敬の気持ちが俺を強くした。