「はい、早かったですね
はい今から参りますロビーでお待ちください」
松前は腕時計で時間を確認し慌てて陽向汰に
「失礼します」
と頭を下げ出て行った
陽向汰はそれ程気にしなかったが社に帰るとミオの姿はなかった

「アレ倉科くんは」
陽向汰は会議の資料を整理している佐伯に声を掛けた。

「午後休取って帰りましたよ何か大事な用があるとかで・・・」

「へぇー!大事な用って?」
「それより課長社内メールみましたか?会長主催の」

「メール?ああ、いや、聞いてはいるがまだ見てはいない!」
陽向汰が答えると佐伯は残念そうな顔をして呟いた
「何で28以上なんすかね、俺は24なんすけど行きたいです課長はギリ行けますね良いなぁ」

「歳なんて分かんないだろ行きたきゃ行けば!!俺はイカネーけど」

「いや会長の決めたことに逆らう勇気はないっす
それに社交ダンスなんてやったことないっす
「そういやぁミオ先輩も行くらしいッス」
聞いた話しじゃ28以上で踊れる奴限定で人数制限らしいっすね
社内の28以上独身はかなり居ますし会長も考えましたよねー
人数切りってやつですかね、参加人数ふえないように」




「社交ダンスが踊れる奴限定なんて会長の考えそうな話だなぁミオいや倉科は踊れるのか?」

「何か大学の時同好会に入ってて久しぶりに踊れるってはしゃいでましたよ」

「俺も参加しょうかなぁ」
赤池大輝もつぶやいた。
習ってもいないステップをふむ


「お前は無理23、4は、募集に入ってない」

佐伯は大輝がミオを狙っているのを思い出して、さっきと違う反応をする。



「な、なにぃ
じゃ、アレか、倉科はいや倉科さんは参加するのか?」
まさか、ミオが踊れるとは・・・

「じゃないですかぁ
今日ドレス買いに行くってましたし・・・」
隣の席に居た赤池大輝は残念そうに地団駄を踏む

「な、なにぃっ
ほ、本当か?」

慌てる陽向汰に違和感なく佐伯は
「そうすけど」
とのほほんと答える

佐伯にとっては他人事だからその態度は仕方ない しかし
佐伯もミオを狙ってたはず

「俺は歳下特有のおとしかたがあるんで」💪

と言う。

陽向汰は松前に急いで電話をするが放置され慌てふためく
早く不参加を取消さなければ定員に達して締め切られる
焦りに焦り鬼電する。

「あのぉ〜さっきから着信音が」
ミオは松前のポケットを指さして言う

「ははは いいんですよ用事は分かってますからね」

「そうですか」
しかしニャンニャンニャンは流石に煩いので松前は電源を切った
「彼は少しは考えたがいい」
松前はボソッと呟いた」


黒の高級車がホテルの車止めに止まった

「来ましたね、行きましょう」
松前の案内でミオも
歩き出す松前はしなやかで75にしては若くカッコイイ

「どうぞ」
彼は車のドアを開けてくれるミオは恐縮して頭を下げて乗り込んだ

「松前さんは結婚されていらっしゃるのですか?」


松前は恐縮しながら答える

「はい、申し遅れましたが彼女が家内です」
松前は照れくさそうに奥さんを紹介してきた。
⚆.⚆マジ!
運転手の奥さんは軽く頭を下げ
「お世話になっております」
まん丸い体で髪を一括りにしたメガネで美人とはいえない、下町のかーちゃん丸出しの彼女がガハハと笑う

ビックリしたミオは口をポカーン
「あ、すみません
お世話になっております」
とミオも慌てて我に返りミオは頭をさげる。汗を拭きながら
奥さんと松前のギャップに失礼だが信じられないと思ったが言わない!!。

「あんた?今日も帰りはおそいの?」

「ああ、会長と食事をするから先寝てていいよ
多分遅くなる」 そんな会話がミオに聞こえたので
「あの奥様は何時も一人で夕食をめしあがるのですか?」

「ええ、子供も成人したんで彼も私も好きに生きてますよ
束縛はしません。」

「そうよね」
奥さんの琴音さんはガハハと笑いながら松前さんの肩をバンバン叩いた
イテテ小さい声だったが凄く痛そうだった

「家内は柔道三段ですから軽く叩いても痛いんです」

「あらーヨチゴロだからねアンタは、しっかり食べなさいよ!」

「分かってる」
こんなアンバランスな夫婦だが琴音さんは松前さんの食事の事はシッカリ気にしてるようだ
「琴音も飲みすぎないでくれよ」


「大丈夫よ!」

「仲いいんですね」
とミオは羨ましそうに尋ねる
「琴音は可愛いいから
心配なんですよ」
松前の発言にミオは
(꒪ȏ꒪;)え.ᐟ‪.ᐟ‪マジ
「それに琴音は気が多いし、可愛すぎだから」
いやいやどう見ても逞しすぎてお世辞にも可愛い系?とはかけ離れているし松前さんの方が男前だし琴音さんが心配する方でしょとミオは思ったが🙊

「もう私も60なんだから心配しないでよ」
と明るく笑う

「いやいや琴音はホント可愛いから酒飲んだら心配なんだよどこでも寝るからサ」

ん?!

確かに琴音さんに関しては、心配入らないなとミオも思うが、琴音さんはあんなカッコイイ旦那さんなのに反対に心配しないのかなぁ、
車から降りるとミオは琴音さんにお礼を言う。その横で松前さんは口酸っぱくして琴音さんに小言を言っていた。

「はいはい、飲まないから安心して、じゃあねー」
琴音さんはウザと言わんばかりにブウブブーンと車を走らせてアッとゆうまに見えなくなった。
その車を目で追いながら松前さんはハァーと溜息をつく
柔道🥋三段なら何も心配ナイとミオは思った
何故か松前さんは可愛いからを連呼していた。
まん丸い背中に逞しい二の腕、はち切れんばかりの制服を着た琴音さんは人に襲われるタイプではないと思うのだが2段顎の肉はプヨプヨしていて確かにプルルンと触りたくなるのは
ヤバいかもしれない然し柔道三段だ、手を出す男はほぼ居ないと思う。
車をホイヤーと叩き力む姿は馬あつかいなのか

・・・仕事モードに切りかえた
松前さんに案内され会長オススメのブティックに着いた
「松前です、お願いしていた
ドレスが納品されたと聞きましたが」

と松前さんは声をかけると
華奢なワンレンへァの黒のスーツを着た40歳位のキレイな女性が「あらーお待ちしてたのよ」と言いながら出てきた
赤いルージュが大人のオンナ感をだしていてミオはひるんでしまった。
そんなミオをみて
「コチラが会長自慢のミオさん?」
艶っぽい唇で言われて
「はっはいミオですが
自慢する?ほどでは、ありません。」

と口をついて出てしまう。
「こちらへ」
と促されついて行くとワインカラーの背中が空いてレース仕立てのリボンがユルファに流されたハーフドレスが試着室にかけられていた。

「うわぁー可愛い」
ミオはすごく気に入ってハーフドレスの前にはしった。

「さあさあ着てみてちょうだい、ウチのデザイナーが手がけたのよ」

「ステキです。」
そのドレスはミオに良く似合っていた柔らかい細い髪が背中にながれクルリと回るミオは凄く良いオンナに見えた。

「うん、イメージ通り」
松前が写メを会長に送ると
返事が帰ってきた
もう1枚陽向汰にも写メを送った



陽向汰は写メを確認すると

「爺さんが手を回したのか
残念だけど俺は参加しない」

陽向汰は大吉がミオのエスコート役に陽向汰を連れ出す作戦だと思い込むとさっきまで参加すると思っていたが陽向汰が参加しないとなればミオを参加させる意味が無いと思ったら気持ちも萎えた。


「そうですか分かりました
最終チェックが終了するので
会長にそう伝えます。」

「あ、ミオさんのエスコート役はもう決まっておりますので
ご心配は無用です。」
とメールで送って携帯を閉じた
松前のポケットで陽向汰からのニャンニャンニャンの着信が又ひびいていた