大輝の話を聞いて、観察しながらよくよく目を凝らして見れば成程ミオの回りに若いツバメが飛び回っていた
「フーム」
陽向汰はデスクに指を立てコンコンと音を立てる
じーっとミオを見て顎を手のひらに乗せて考える。

俺もまだ27歳
若いっちゃ若い
「ひょっとして俺もミオの回りを
飛び回るツバメの1羽か?
ミオを爪を立ててかっさらう
鷹じゃなかったのか?

あっち向いたりこっち向いたり陽向汰は落ち着きが無い

「ねえ先輩 課長って
ミオ先輩ばかりみてません?」

「へ?絢香ちゃんの
き 気のせいじゃ
ないか かいぃ ს 」

「ですよねー
最近ミオ先輩 よく怒られてますしね、まさかねぇー」

絢香は無理に納得しょうとしてる?
目ざとい彼女は何かを感じ取っているのか!
まさか私が下僕扱いってバレた?

気のせいか陽向汰の視線も熱く感じる、いやいや絶対気のせいだ!!
もしかしてとか僅かな希望は捨てろ ミオは自分の間違いだと指摘する。


仕事を定時に終わりミオは気分転換に買い物に出た
最近なんかモヤモヤな事が多い
軽い憂さ晴らしだ!
久しぶりのデパートはいつものスーパーより人が多い
PM18:00と言えばデパ地下が最強に安くなる
ミオは中華を狙って足を進める
「オ、オット」
ミオの足が止まる!

エスカレーターの付近で知り合いに遭遇、気づかれる前に隠れる

『ウワッ冬華やん』
何人かのイケメンが集まれば自然と
目を引く五、六人いる
ブサイクもいるが金持感はオーラがヤバい

冬華をチラチラ見ながらなかなか足はデパ地下へと進めない

やがて待ち人来る のか彼達は手を上げて合図をしながら合流、デパートを出て行こうとしてる

中華か、冬華か?
冬華か中華か?
究極の選択


「西尾センセーい」

甘ったらしい声がミオのアンテナを立てるアンテナは冬華を指す
ミオは中華を諦め集団の後ろに混ざりついて行く事に決めた!


「西尾先生
私先生の彼女に立候補シマース」
ポテンポテンした彼女が丸い右手を上げる

「はい、あと20キロ落としてからな」
チッ彼女は舌打ちをする。

「先生私も」
今度はわりとガチで綺麗な子が手を上げた彼女の頬がポッと赤い

「やめとけブス」
さっきのポテンポテン女子が呟く
『いやいやアンタのほうがかなりドブスなんだけド』
ミオも付い口走る

「悪いなー、俺本命がいるから」
冬華は回りの女子に聞こえるように言う。

冬華の告白を聞いていたから
"本命"が自分の事だと分かる

「先生キャーキャー嘘ですよねー"
先生、彼女いたんですか?」


「・・・あ、ああ、まあな
だから、付き合えない付き合った
としても2番目、3番目だぞ
だったらいいぞა」


「ホントですかぁ〜
私がんばっちゃいますウ~♡
西尾先生選んで下さあぁぁぁーい 」

はち切れんばかりの若さをひけらかし若い女の子達はBODYTouch
胸を冬華にグイグイと押しつける

他の何人かの女子も他のイケメンに
同じようにアタックしている

ブサメン達は苦笑い
「俺らも医者なんだけどなぁ」
と1人が呟く!

どうやら先生呼ばわりする所を見ると彼女達は看護師さんか病院関係だろうな、多分同じ職場
冬華に腕を絡ませ嬉しそうな彼女達 冬華も "おいおい" とか言いつつ鼻の下を伸ばしている

ミオは ハァー💢ムカッ

海屋とデカイ看板の店に着くと
何人かのベテランらしき看護師さんと合流

「ハァー先生方又取り巻きに囲まれて、先生方 大変でしたね」
メガネをかけて、痩せ型の厳しい顔の40代くらいの女性はスズメを人睨み

「ヤバ看護師長ヒェッ…」
ポテンポテン女子が呟く

「呼吸器内科の先生達は揃いましたね」
蜘蛛の子を散らすようにスズメ達はソソクサと中に入った、どうやら看護師長さんの事を子スズメ達は苦手の人物のようだ
ミオは中に入るのを諦めたストーカーの真似もココで終了なぜなら

看板の横に貸切とある。

ミオは部外者だ!!

『なんでついて来ようと思った?
中華を蹴ってまで・・・』
ミオの呟きの結末はマッ!!マサカ……
冬華にも気があるのか?イヤイヤ
弟のような冬華の私生活に興味があっただけジャン
そうに違いない冬華にも気があり陽向汰も忘れられない気持ちもある

自分こそ都合がいいのでは?
自分の不甲斐なさに呆れてしまう。

「アレ?
ミオさん?」
しょぼくれて歩いていると後ろから声かけられた。

「え?」
振り向くと冬華と昔つるんでいた たしか?
たしか?えっと・・・

「向田一稀(むこうだ いつき)
ですよ
名前わすれてる?」


「えっとそもそも名前聞いていたっけ? ゴメン一稀君だ」

「何してるんすか?」

「帰る所よ
近くのパーキングに車とめてるの」

「車?」

「う、うん」

「・・・ふえへっへw
まさかのあの危ない車っすか?」

「だったら何?ムカッ
送ってあげようか!」



「いえ、遠慮するっす꜆꜄꜆」
一稀は一歩下がりながら断って来た

「そ、じゃあね」
背広姿の彼はあどけなさはスッカリ無くなり落ち着いた顔をしている

「あのー
あの時のハンバーグ美味かったっす、又ご馳走して下さい」
突っ立って言う彼に社交辞令で
「ハイハイ」
と手をふり返しミオは又足をはやめた。


パタパタパタ
ミオがコンビニを出てパーキングへと向かう中、後ろからかなり焦った
足音がした。

ミオも身構えながら歩く 幸い町中で
まだ人の往来もある時計はマダ18時過ぎ ホッとスマホで時間を確認する

しかし
足音は益々近くなりミオの右手をグッと掴まれた

ヒ、ヒエーッ꜆꜄꜆꜄꜆

ミオの目はググッと見開いてバッと後ろを振り返る


「ミオ!」
その声に緊張が溶ける。

「と、と、冬華じゃーん」

恐怖の中、安心したのか気が緩みフニャリと体が 崩れさろうとした時
ガッシリとした冬華がミオを胸に抱き抱えた、冬華の甘い日本酒の香りがミオの体を包んだ

楽しく飲んでいたのだろう

「ゴ՞ ՞、ゴメンびっくりさせたか?」

「そりゃーそうよ
いきなり掴まれたんじゃビックリ
するよ💢」

「呼んだんだけど
ミオが早足だからサ
捕まえたんだよ」

え、足音に恐怖を感じていたからか
ザッザッザッザとしか聞こえなかった。

「あ、そうだった?
聞こえなかったよ、でもなんで」


「え、ああ、一稀から電話もらって
ミオが居たって聞いて駐車場なら
コッチかなって急いで来たんだ」


「バカじゃん
一稀君と会ってから30分は過ぎてるしコンビニ寄らなかったら
会えて無かったよ」


「え?一稀はそんな話してなくて
今合ったみたいに言ってた」

冬華はきっと一稀はミオがコンビニに寄る事を予想して話していたのか?いやミオが何処に行くか見ていたのだろう。
海屋で飲み会があると一稀は知っていたんだ、だから俺に電話して教えてくれたのだ。


「一稀君、車で送ってあげる
って言ったら断られたわよ
失礼しちゃう!!」


「ああ、╭☞それな」

「冬華もいやでしょ
私の車に乗るの
ってかなんで来たの海屋みたいな
高級料亭で飲み会していたのに」


「ヘッ‼️
なんで」


「え?」

「なんでしっていたの?」
冬華はじーっとミオをみつめて目を
そらさない。


「え?」
ジ━━━━━━━━ッ

「え?え?えっと何でって
ああ、あれよアレアレ」

「アレ」


「ウン、アレよ」

「へー何?」

「ああっと・・・えっと そう
見かけたのよ、冬華が海屋で女の子連れて入るトコ」


「あー
あの時かー」

ウンウンとミオは大きく首を縦にふる。

「じゃ、肉まんが冷めるからさ
帰るね」

「俺のは?」

「は?あるわけないじゃんよー」

「じゃあ買ってこー」

「は?食うの?」

「食う、ミオも食うんだろ
なら、俺も食う」

「は?」

ミオは呆れながら
「海屋で食ってないのー」

ミオの問いに応えず冬華はスタスタと歩き出した

「早くミオ」
振り返り冬華の掛け声に思わず足が出る

「肉まん3個、あんまん3個
コロッケとアメリカンドック2個
ください」

ミオはビールを抱えスイーツも買い込む、明日は土曜日飲める
まあ飲めないけどノンアル

「さあ帰ろう」
冬華が言う

久しぶりのミオのオンボロ車はまだ健在だった、冬華が運転席に座り
椅子を下げる

「アレアレアーレレレー」バターン
冬華と椅子が一緒にたおれたー
ヒョイと冬華がおきあがり椅子を上げるが椅子が戻らない上がらない

「え"え"え"ーっ」
ミオと冬華は顔を合わせて見合いながら冷や汗がダラリン՞ ՞


「ど、どうする?」
「ど、どうしょう」

と2人は叫ぶ

「と、兎に角何とかせねば」
ペターンと伸びた椅子を立て
座ってみるがペターン
何回座ってもペターン

ペターンパターンペターン
ミオが上げ冬華がもたれる
ペターンパターンペターン

永遠に続きそうな餅つきいや
椅子付き

焦りまくった2人は 運良くあった買い物バスケットを後部座席と運転席の間に挟むヨシ
チームワークは抜群

「オー上手く行った」
椅子はペターンとせずに立っていた。

応急処置をしながら車をミオの家に向かって走らせた。
椅子が立ってるうちにつかねば
焦る焦る
あの日が甦る

あれは夏だった、あれから次々壊れ部品をとっかえひっかえ
中古車だけど部品はあたらしい

新車そのもの
最後に座席カヨ
座席は頭に無かった、それも運転席
とは・・・