久しぶりに陽向汰に美味しい朝食でも作るかと腕をまくる。
ミオは早起きして24時間開いているスーパーへと足を進める
今日は日曜日 白く吐く息さえ凍えそうに冷え冷えだ

『やっぱパン?ご飯?でも』
陽向汰はワカメと揚げと野菜タップリの味噌汁が大好き
味噌汁と来たら鮭かアジだな

ミオの頭の中は陽向汰が食べる朝食に想いを馳せる 足はスーパーへと急ぐ!

『ど れ に しょうかな?』
ミオは並んだ魚くんを指で☝️""フリフリ アジ 鮭 鯖 シシャモ ホッケ 鯛
指の止まった先は


ホッケ🐟
ホッケの開きに決定
となればほうれん草の和え物に、だし巻き玉子
朝のメニューがパパパッと決まった

大きめのエコバッグに材料を入れて
陽向汰のマンションへと足を運ぶ

サラダにするキャベツとレタスがエコバッグの場所を取り重たーい

通い慣れたマンションだったがあの日以来随分とご無沙汰していた。

エントランスをぬけてエレベーターに乗り最上階を目指す

右手左手のエコバッグをユラユラ揺らし暇つぶししながら
エレベーターを降り陽向汰の部屋へと向かう 合鍵で入ると・・・

可愛いスニーカーが端っこに寄せてあった。

「ん?誰か来てる?
それとも忘れ物・・かな?」

カーテンを開けて朝の空気を入れる、生暖かい部屋は一気に引き締まった空気が充満する

「入れ替え入れ替え」
小さくつぶやきながらカーテンをシャャーっ
窓をガラガラガラー
澄んだ冷たい空気がミオをグルリと包む

ブルブルやっぱ寒い
ミオは直ぐ窓を閉め二重カーテンの白いレースカーテンだけを引いた

陽向汰の様子はどうかな?
ミオが寝室に入るのを嫌がる陽向汰だからコッソリ覗くのがミオは好きだった 静かに開けるカチャ ウッ
静かな部屋にはドアノブの音さえ響く しかしその後ミオの足が止まる
柔らかい物を踏んだパッと下を見るとワ、ワンピースヤンケ?

人差し指と親指でつまむ
キョロキョロと薄暗い部屋を目を凝らして見ると なんとっ

さらにベッドへ続く道にはブラがポーイと投げられたように着地してる
ショーツは反対方向に飛んでいる
それに陽向汰が昨日着ていた服が
ベッドへの道案内かのようにつづいていた
ダブルベッドには山芋のような足と太り損なった大根のような白い細い足が重なって・・・


「これって」
スースーススースース スースーススースース
このハミングは?
見てはイケナイもの?か
それとも故意に見せられしものか?

陽向汰は考えを改めないゾとミオへの意思表示か?だから態々 呼びつけたのだろうか?。

「コレが俺の出した答だ」
というかのように赤いブリーフがミオの足元にドーンと落ちていた。

「そっか・・・スッポンポンか!」
トボトボ トボトボ
ミオはリビング へとフラフラUターン

陽向汰は何を話し合いするつもり?
期待してきた私はなんなんだ・・・

え?もしかして、2人が起きるまで待っのか私が?なんで?

しばらくするとキャハハハと笑い声がしだした。

「やっと起きたか」
退屈そうにミオがつぶやく

「やだあーぁ
またぁー」

『ハァいちゃついてんのか?』
何度も繰返された過去と一緒だ

「ん、もう先輩
サッサとシャワー終わらせて
下さいよー
麗奈もシャワーしたいんで!!」

しばらくするとシャワーの音がしだした陽向汰が浴室を開けっばなしでシャワーを使っている

ハァー何回も床が湿気を吸うから閉めて使ってって注意してるのに

やれやれ
ミオはテレビのリモコンをおす
旅行会社の賑やかなCMが流れる




「だれ?」
彼女はリビングに座るミオに気づきびっくりしたように叫んだ

「あ、ああ家政婦です
掃除、洗濯、家事一般の」


「家政婦さん?」

「えっと、今日は 失礼しましょうか、お取込み中なんで
。」

「え、あ、せっかくだから
朝ごはん、たのんじゃおうかな?」
麗奈は陽向汰のトレーナーを着て
ダボダボなミオの憧れの姿で現れ
そう言った。

ミオは寝室に入れない つい
嫉妬してしまった
ヤッパリ陽向汰を吹っ切れていなかったんだ、情けない気持ちと自分に呆れ果てた気持ちが頭の中で渦をまく

「自分でヤレ
っか聞いてましたか?
掃除 洗濯 家事一般と言いましたが
料理は入ってません
食べに行くなり出前取るなり
好きにしてくださいなっ💢」

顔面を全力でしばませひと睨み


持って来たエコバッグを両脇に抱えて玄関まで歩く、彼女が悪い訳じゃないがついキツイ口調になってしまった。

完全なヤキモチだ!!


麗奈はポカーンとしていたが
ヒエッと小さく叫んだ。
反応 遅っ
ミオもついつい大声になる

麗奈に鍵を渡そうとも思ったが一夜の関係な事もある為、渡すのをやめた

エントランスに出るとコンシェルジュのいる場所へと向かう
「おはようございます」
警備員さんも顔なじみ、いつからココに来ているんだろう

「あ、陽向汰が大学入ってい2年目ごろきたっけ?
・・・長過ぎ」

ミオが鍵を預けてマンションを出た頃 陽向汰から着信がなった。

「もう話すこともないのに」
と呟きながら電話にでる。

「はいモシモシ」
とりあえずは今職場の上司だ無視は出来ないと電話に出た理由を自分にいいきかせる。

「えっと・・・」

「話し合いの件ですか?
意味無いと思います。

鍵はコンシェルジュさんにあずけてあります 一緒にいる彼女に渡したら
いいんじゃないですか?」


「いゃ彼女はただの後輩で」

「はいぃ?👂」

「だから関係はないんだ」

「関係もったのに?
関係ない?」


「う、うん そう。
ミオは真剣に考えなくていい
俺を信じてくれたらいいんだ!
彼女は・・・そのアレなんだ!」

「今からもそんな事あるんでしょうね まあ私は家政婦扱いですから関係ありませんもの」

「グッ」
カエルが何かを飲み込んだように
息をのんだ陽向汰の声がした。

浮気男の上等文句
現場抑えられても知らないと言え
・・・か、ナルホド
ミオはこんな男の言いなりにはなりたく無かった。


「課長、会社でお話は聞きます」
そう言って電話を切った。

冬将軍が次々やって来る寒い冬 北風に頼んで陽向汰への思いを飛ばして見た、きっと暖かい春が来る頃は断ち切れているといいなぁ


"「おはようございます」
各部署で挨拶の声が響く
課長はミオと目を合わせることなく席について仕事をこなしている

午前中はそつなく仕事が終わる
「ミオーお昼いこ」

「うん 何食べよう」
ミオも財布を取り出しキャッキャキャッキャ笑いながら同僚と出ていく
ミオはアラサーだが同期は何人もいる 今は結婚しない社員も結婚出来ない社員も多い

「あ、俺もー」
2年目入社の赤池 大輝は右手を上げて
バタバタ手を振る

陽向汰はそんな彼に声をかける
「赤池は俺に付き合え」
ガヤガヤとした空気を割るように一瞬シーンとなり赤池大輝は固まった

「は、はい!」
残念そうに肩を落としストンと座る
陽向汰に言われ赤池大輝はコンビニ弁当を買いに行った。

唐揚げ弁当にサラダ 大輝の好きなプリン付きと焼き肉弁当

「おう、ちゃんと2人分あるな」

「当たり前ですよ、はいお釣り
部下をパシリに使うなんて
モラハラですよ」


「いや、すまん
俺飯食い行く暇、無かったから
ありがとう助かった。」

「え、あ、まあ、いいですよ
俺は焼肉弁当にしましたから
ゴチです。

でもミオ先輩とランチ行けたのにオレ残念でした!」

「は?」


「課長だからいいますけど
俺狙っちゃってますから
今度の忘年会必ず彼女にしてみせます」

「お前未だ24、5?」

「24です!」

「ミオ、いや倉科君を食わせていけるのか?」


「専業主婦なんて望んでませんよ
彼女が妊娠する迄、二馬力で
頑張ります、急がないと彼女29
なんで子供産む年齢長くなく終わりますからね。まあ子供を理由に迫りますがね、僕は子供が欲しいんじゃなくて彼女(ミオ)が欲しいンです。」




「おま・・・
あんなオバサンより若い子いっぱいいるだろ なんでミいや倉科さんなんだ?」

「彼女は」

焼肉弁当をほうばりながら
爽健〇茶をゴクリと喉に流し込むと

「彼女は身のこなしも綺麗で
何か食べてる時調味料を当てるんですよ ケーキだって何が入ってるか
分かるし、きっと料理は凄く上手いと思います
しかもやさしくて思いやりもあって」

「ああ、確かにな」

「え?知ってるんですか?」
大輝はパッと顔を上げた

「い・・・や
そんなかなと思っただけだ」

「兎に角、狭き門なんですよ
狙ってる奴おおいんで」
「⁉️そうなのか
(((;꒪ꈊ꒪;)))多いのか?」

「はい」
陽向汰は唐揚げ弁当を開けたばかりで食べれなくかった。

「くうか?」
陽向汰は大輝に弁当を差し出した
「余裕すょ」
食べ盛りな大輝はパクパクと食べてしまった。

「課長、これあげます
安物ですが結構ききますよ。」
ひとっ50円の栄養ドリンクを差し出した。
値段は言わないと分からない
木曜市の特売で買った栄養ドリンクは会社の大輝の机の中に入れてある10本入りの1本だ
彼なりに何も口にしない陽向汰を心配したのだろう

「ああ、ありがとう」
陽向汰はブシュッと開けて一気に飲み干した、テキーラより甘く体にいい感の味、あの日これを飲んでバーなんて出歩かなければ良かったと今更、後悔した、ミオにメールを送って会う約束をした事などスッカリ忘れてしまっていた酒の力は恐ろしい。


なんと弁解してもミオの気持ちは収まらないミオは平民だから俺らのセレブのルールは認めない!
通用しない、遊びだったとか言っても
軽蔑されてしまう。