ミオは再度陽向汰の眠りを確認すると、タクシーを呼び陽向汰のマンションには泊まらず自分のマンションへと帰った。

布団も毛布も使えないから家に帰るしか無かった。


陽向汰は無断で拝借するのを嫌う
かと言って、起こすのは可哀想だし慣れない会社の接待や仕事の山で疲れているようだし

起こしたらそりゃもう機嫌が悪い、前の陽向汰ならね、今もそうかもしれない。

そんな彼の諸事情を知っているの
だから陽向汰を起こし布団を借り
ると言うのはせっかく寝付いた
陽向汰を起こすことになる。
あの頃のように陽向汰は不機嫌爆発でもしたら手が付けられない。
だから起こせば色々めんどくさい
ンだよね・・

ミオはマフラーを巻、コートを着て手袋をはめると静かにドアを開けてタクシーを呼んだ。

幸いタクシーは近くに居たらしく直ぐ来てくれた。


学生の頃、何度も見た景色に包まれながら外の灯りを目で追った
あの頃は陽向汰との未来をよく想像したものだ!


住み慣れた我が家は陽向汰の立派なマンションとは雲泥の差はあるが自分の所有なので安心して使える。あーやっぱ我が家が一番
1DKのマンションがこんなに居心地良いとは、手を伸ばせば必要とするものがある、よいしょつと孫の手とかけ声があれば引き寄せれるあーなんて便利

掃除も早く終わる
家賃も並み、しかし・・・

又陽向汰に家政婦みたいに
扱き使われるのだろうか?
全く嫌では無い自分がいるのが不安

陽向汰と付き合えるのなら百歩
譲っていいとして
又、ナアナアな関係なら意味有る?
どこの誰が見てもボランティア

ミオはそんな事を考え

ウサギの抱き枕にしがみつきながら眠りについた、陽向汰を忘れる事が出来なかった、だから今迄結婚する気も起きなかった、そう結婚出来無い じゃなくしなかったのだ
たとえ陽向汰にとって都合の良い
女だったとしても。

好きな人とじゃない結婚?て意味
あるのだろうか?

好きな人と作る家庭が女の幸せと
思えば結婚には踏み込め無かった。


「おはようございます課長」
陽向汰と廊下ですれ違い挨拶すると

ドンッ💥
「おはようございます。」
キャーキャー課長
陽向汰を見つけた途端すぐ沢山の
雀ちゃんが集まって来る
話所じゃない
ピーチクパーチクドケドケ
ミオは押し出されるようにはじき出され当たり前に蚊帳の外


弾き飛ばされた腰を労りながら
ドッコイショと立ち上がる
「あー腰イタ
ヤッパ陽向汰の傍にいるとロクな
ことがない。」




「さ、仕事仕事」
ミオはヨロヨロとふらついた体を立て直すとスタスタと部署へと歩きを進める。


ドッコイショと椅子に座りファイルを出して仕事内容を確認する。

「倉科君ちょっと!」
就業中よびだされる、課長は又
ミオを呼ぶ

「早く💢」
と威嚇され慌てて立ち上がる

なんだろうと不可視げに近寄れば
課長は机に置かれたコピー用紙を
指でトントン

ミオが目を落とすと

「は?」

と口からこぼれてしまう。

"今日は煮込みハンバーグ
が食べたい。"

ミオは白い紙に並んだ文字を見て
ギョッとする。

「・・・⁉️」
するとコピー用紙に
"だから煮込みハンバーグ!"
と再度書いてきた。

「わかった?倉科さん!!」
陽向汰の怒気のこもった声に
部署はシーンとなる


「ハ、ハイッ」
と返事するしかないやんけ
皆の注目を- ̗̀ ̖́-浴びているのだから

「それからコレ」
黒いクレカが渡された
コ、コレはセレブの持っウワサの
ブ、ブラックカードヤンケ
ブルブル震える手で

暗証番号は3030とサラサラと書いた。

「えっ😳‪….ᐟ‪‪‪.ᐟ‪‪‪.ᐟミオミオ?‪‪‪」

ミオの頭はクラクラ
『陽向汰が金をだしてくれるって?
嘘ぉーしかも暗証番号がミオミオ』

驚くミオを見て陽向汰は
サラサラサラー
と又ペンをはしらせる。

"ミオと2人分の食費だから"
と書いて来た。

「分かったら、早く
行ってください」

「ハ、ハイ分かりました。」


みんなは叱られたと思ったのか哀れみの視線を投げてくる。

「ヤバイですね先パイ
何しちゃったんですか?」
陽向汰狙いの新卒の絢香が興味津々に聞いて来る

絢香に見られないように
バックの財布にカードを素早くいれる。

会社で可愛いと評判の絢香だ
陽向汰を狙っている。

短く足を出したスカートに、男性の好きなユルフワな肩甲骨迄の髪
色はもちろんチョコレートブラウン目もクリクリの長々まつ毛はつくりものか?
頬にはホンノリチーク
ビジュ バッグン

落ちないオトコは今まで居ないと
自慢するだけあって成程可愛い

若さもあってか短めのスカートも嫌味がない、ミオがあんな短めのスカートを履いたら卵でもぶつけられそうだ。

絢香は陽向汰をロックオン
執拗にいいよっている様子
陽向汰も迷惑げな顔をして絢香を見ているから心配はないかと思いながら
自分はなんの心配をしてるのだとその方が心配、スッカリ社内恋愛の雰囲気なのだ・・・
また以前の自分がニョキニョキと頭を持ち上げる。
いやいや、違う違う勘違いするな
以前の私じゃないから!

絢香はそんなミオに

「私ィ、本気で頑張るのであんまりぃー課長を怒らせないでくださーいね」

絢香は耳元で呟いた

「あーハイハイ」
ミオはダルそうに応える
残念ながら陽向汰の回りには絢香ぐらいの女子は他にも沢山いる事をミオは知っておる。

それ以上の女子も常に張り付いている。絢香、ざんねーん。

又あの大学時代と同じような生活か?
でも違っていたのは陽向汰が別人のように優しくなった事金も出してくれる

「もしかしたら、私の事やっと
好きになってくれたのかも」

な勘違いと思いながらもそうであって欲しい気持ちがニョキニョキと頭をまちあげる。

冬半ば

クリスマスケーキのパンフが
スーパーの何処そこに見られる頃
もう少しでクリスマスイブがやってくる。



「陽向汰、プレゼントの希望ってある?」

と一応聞いてみた
買えないものは無理だと言おう、
陽向汰が変わったように私も
変わらなきゃ


「プレゼント?そうだなぁ」

「う〜ん」

「そうだなぁ」
パッとミオの目を見るが又

「う〜ん」
『うーんって何?』


「ヤッパ要らないゃ」
ミオはガクッ

「へ?聞き間違い?」
とミオはアタフタ
.。oO思った返事と違う

「あ、それにオレ
クリスマス予定あるからサ」


あ!!

.。oOそうだったか!本命は他に居て
私ってヤッパ使い勝手のイイ
家政婦ってトコか!!
イヤイヤもう28だ結婚とかも
考えないとラストスパートの年齢に差し掛かったと言われるが妥協で結婚はしない。

「そ、そっか!
アハハハハた、楽しんでね
クリスマス」


「ああ!ミオは予定あるの?」

「よ、予定?」

.。oOあるわけねーじゃん
陽向汰の為チキンを揚げて
ローストビーフ🍖作って
ケーキやいて
サラダ作って
の流れだったのにぃ~
メッチャ暇になったしー
とは言えず

あ、そうだ、
「映画映画、映画に行く!」
見栄を張りたいのか咄嗟に答えた

.。oO私にだって・・・
予定くらいあるサ
(用事作ればアル、今は無いケド)




陽向汰はなんでも無いような顔を
して一言

「ふーん、せっかくのイブなのになぁ」

「アハハハハお構いなく。」

ミオは強がりなのだがそうでないフリ

なんなんだコイツ(陽向汰)は
陽向汰の為に予定入れてなかったと言うのに💢

あ!!

そう言えば陽向汰とクリスマスとか祝った事無かったな
日向汰は何時も居なかったじゃんか




『ふーん、映画?
って誰といくんだ?』
陽向汰は軽く聞き流したフリして
そこはしっかり押さえていた。



「映画ねェ~?」

陽向汰は内心ミオの発言に頭を悩ませていた。

『まさか男か?』
確かめねばと反射的に脳が行動に走る、陽向汰は予定をキャンセルする

それは倉科ホールデイングスの
クリスマス会

会長がクリスチャンな為一族
揃ってのパーティ
コレは正月よりも優先順位は上

爺様が傘下の企業を集め会議をし
親睦会目的もある。

しかも爺様の家はイギリスにある
爺様は80過ぎその日、年頃の孫を集め、それぞれの結婚相手を
何処そこから探し出し見合いをさせるのがジジイの楽しみだと
昔から聞いていた、俺は27だ
爺様の言う年頃は男は
29から、女子は22だった
俺は別に行っても意味無い

よし 欠席!!


陽向汰はクリスマスイブにミオを
見張る事にした。

チッ、俺の他にオトコ作るなんざ
何考えてんだ!
直ぐ別れさせてやる
陽向汰は嫉妬しつつその時を待った
人任せには出来ない
ミオに充分反省させなければ…
俺をゴミのように捨てたんだ
許せん。