「くそ。俺の飲んだ惚れ薬の効果はあの女と会った時に発揮されるだけなのだろうが、一時的にでも惚れているなど、絶対に嫌だ。そんな屈辱に耐えるくらいなら、いっそ死を選ぶ」

 ルドルフ団長は悲壮な表情で、腰に下げられた長剣の柄に手を掛けた。

 いけない……私の日々生きていくための潤いの元、イケおじになりかけの団長が死んじゃうなんて、しかもこんな良くわからない惚れ薬飲まされたから自決とかいう理由だなんて。

 その後の人生後悔ばかりになること考えると、絶対にこのままに出来ない!

 死んじゃうんだとしたら、せめて、ベッドの上の老衰か名誉の戦死にしてくださいぃぃぃぃいい!

 あ。死なない方が、もちろん良いけど!! どうしてもって場合はこちらの二択の選択肢からってことで!

「ままま、待ってください! そんな理由で、団長が死ぬなんて絶対ダメです! 団長!! 大丈夫です。私にとても良い考えがありますから!」

 はいはいっ! とばかりに私が右手を高く掲げれば、団長は眉の間に皺を寄せてこちらを見た。

 ああ……そんな苦悩に満ち苦み走った表情も渋くて、とても良い。