三十路を迎えたばかりだけど、若くして王都騎士団の団長。

 私が何の変哲もないただの町娘の時から、王都に住む女性の憧れの存在だった。

 金髪碧眼で、容姿端麗。正統派の美形に、今まさに渋みが加わろうとしている絶妙なお年頃。見る人が見れば美味しそうな食べ頃の騎士団長である。

 こうした美形をジャッジする際には、異様に点が厳しくなるうら若い乙女の目で近くから見ても、欠点らしい欠点が見つからない。

 容姿が良い、役職も凄い、仕事だって出来る。けど、何故か独身。つい憧れてしまう存在だけど、きっとなんかあるわよ……と現実主義者の姉から口酸っぱくして、ルドルフ団長に憧れていた私は言われていた。

 そして、こうして部下として彼に近づくことになれば、団長が独身を続ける訳はすぐに判明した。

 ルドルフ団長は、極度の女嫌いだったのだ。

 その理由は騎士団内部にも知られてない。私も知りたいような、知りたくないような。いやでも、別に知らなくても特に問題ないなら、それでいっか。