ギャレット様は容易く高い位置にある馬の背に飛び乗り、私を後ろから抱きしめるように馬の手綱を持った。彼が軽く馬の腹を蹴ると、馬は速度を速めて走り始めた。

 私が眠ってしまっていたから、起こしたくなくて自然に起きるのを待っていてくれたのかもしれない。

 本当に優しい人。

「ギャレット様。私、そういえば言わなければならないことがあって……」

 この前イーサンから「願い事」を聞いた私は、彼に伝えておかねばと口を開いた。

「うん。何? ローレン。俺に言わなければ、ならないこと?」

「はい。イーサンとデートして来て良いですか?」

「……え? ローレン。それはどういうことだ?」

 軽く聞いた私に対し、深刻に答えたギャレット様は馬の手綱を引いて、その場に停まった。

 ……しまった。これでは、言葉が足りなかったかもしれない。

「あのっ……イーサンにこの前、ギャレット様が危ないって教えてくれたお礼になんでもお願い事を聞くと約束をしまして……」