けれど、こうして心を通わせてから二人で来ることが出来て、本当に嬉しい。

「……ごめんなさい。シェフの用意してくれたお弁当が、美味しかったせいです。ついつい、食べ過ぎてしまいました」

 どうやら満腹になった満足感もあり、馬に乗り散歩をしていた間に心地よい振動を感じ、眠ってしまったらしい。

「良いんだ。今までローレンは一人で家族を守らねばと気を張り、大変だったと思う。これからは、隣に俺が居る。何も心配せずとも良い」

「ありがとうございます……あ。ギャレット様。見てください。初雪ですね」

 ちらちらと森の景色に混じっていた白は、今年初めての雪だった。

 ちょうど一年前のこの季節、私は王妃様より話を持ちかけられ、こう思ったはずだ。自分と家族を守るためなら、なんでもすると。

 私が予想していたはずの未来とは、大きく変わってしまった。騙すはずだったギャレット様は、もうすぐ私の家族になるだろう。

「そうか。寒いと思った。ローレンが風邪をひいてもいけない。そろそろ、帰ろうか……」