「……ローレン。君を使って義母上が俺にしたことは、もうわかっている。あの人は俺が剣を振るしか能のない馬鹿に見えているのかもしれないが、君は俺のことを好きなのに……良くわからない理由で、ベッドフォートの元に行くと言ったから、これはさすがにおかしいと気がついた」

「えっ! ええ。すっ……好きです。そうなんです。好きです。私……演技ではなくて、本当に、ギャレット様が好きなんですっ」

「知っている」

 ギャレット様は躊躇なく私を抱きしめて、私はおそるおそる彼の背に手をまわし、大きな胸に顔を埋めた。

 ああ。私は帰って来たんだと思った。彼の元へ。

「ギャレット様。ごめんなさい。傷つけて、ごめんなさい」

「……謝ることはない。君が苦しんでいることに気がつかず、本当に悪かった。ここ最近君のことばかり考えて、そこまで至らなかった馬鹿な男だ。許してくれ。ローレンが俺から離れて行って、冷静によくよく考えた。君の言動や行動には、ローレンが俺に伝えたかっただろうこと、いくつものヒントが隠されていた」