「てか聞いた?元カノ、なんかまた友利に近づいてるらしいよ?」
「うわっ、それぜったい野球部が目立ってきたからじゃん。しかも友利は男女関係なく後輩にも人気だし、魂胆バレバレ」
「ヤバイよね。なんで去年の友利はそんな子を選んだのか謎すぎ~」
断れなかった流れだった、と言っていたような気がする。
結果、“友利が好き”ではなく、“キャッチャー姿だけが好き”と屈託なく言われ。
その瞬間、そいつのなかで冷めがきたと。
「でも彼氏が甲子園出場とか、ちょっと憧れない?」
「わっかるー。あっ、その場合は私はピッチャーがいいけど!」
「あははっ、ならB組の有馬(ありま)くんじゃん!あたしは友利狙っちゃおっかな~!
そうすればあたしらもある意味、バッテリー的な?」
「───うるさいんだけど」
日誌を強めに閉じた森 静奈、とうとう我慢の緒が切れる。
「じょ、冗談だって~」
「そんなこと話してる暇あるなら部活、さっさと行ったら?」
「……は~い」