しょうゆとごま油の香ばしい香りが、冷めても香ってくる。

「別に無理しなくていいですからね。食べなくても私の胃に入るだけですので」
「いや、食べる」

天音さんはおにぎりをひとつ手に取って、食べ始めてくれた。

せっかくだったら海苔も付けていたら良かったと、私はどんどんなくなっていく焼きおにぎりを見つめる。どうやら口に合わないわけではないらしい。

その様子を眺めながら、ふと疑問に思ったことを尋ねてみた。

「普段天音さんって何を食べているんですか?」

まさか毎日外食ではあるまいな。芸能人ってそんなところありそうだなと、勝手な偏見で決めつける。

最後のひと口を飲み込んだ天音さんは、コーヒーを手に持ちながら口を開いた。

「大体コンビニ飯。弁当とか冷食とか」
「えぇ・・・栄養偏りませんか?」
「サプリメントも飲んでいるから大丈夫」