特別に俺が取っておいてあげてもいいけど。と、どこからか聞こえてきたが、私自身は新選組題材の舞台にテンションが最骨頂に盛り上がっていた。

これはきっと殺陣が間近で観れるチャンスである。あれやこれやが実際に見れるかもと思えば、正直天にも昇る気分だ。あ〜もう無理、沖田総司尊い。

とんでもない情報を貰ってしまったと思ったのと同時に、天音さんに恩を売っておいてよかったと過去の自分に拍手した。ちゃんと授業のノートを取った過去の自分に拍手。

「絶対にチケット戦争に勝利してみせます!」
「だから俺が特別に、」
「あっそうだ天音さん!お腹空いていませんか?」
「お腹?・・・まぁ空いていないわけじゃないけど」

そう聞いて私はふっふっふっとここぞとばかりに、鞄から特製おにぎりを取り出した。

出てきたものに天音さんは「おにぎり?」と不思議そうな目で、2つの三角を見つめる。