そこまで言ったところで、私はへらりと顔を崩す。

「って、多分海外にいたせいか、逆に日本の歴史とか文化が好きになったところはありますね」
「へぇ」
「あーごめんなさい。こんな事言っても、天音さんは面白くないですよね」

随分長々と語ってしまったと謝ると、彼は「別にいいよ」とさほど気にしていないような口ぶりだった。私はほっと胸を撫で下ろす。彼の貴重な休息時間を私の趣味の話に割くのは申し訳ない。

天音さんは「あのさ」と口を開く。

「これ、まだ情報開示されていないんだけどさ。うちの夏樹が舞台するんだよね」
「夏樹、さん?・・・えっと、」
「俺と同じグループの」

慌てて私は「あぁ、千堂さんですね!」と同調したが、目が泳いでいたのだろう。

絶対に天音さんの目からしてバレている。私が未だにvoyageのメンバーすら把握しきれていないことを。