サークル部屋には中央に配置されたテーブルを囲むようにソファが置かれている。

噂によると数代前のサークル長が卒業の時に贈呈してくれたらしい。それも革張りで上質なソファを。

古びたサークル部屋には正直浮きに浮きまくっているが、横になると絶好の仮眠スポットである。

身体を起こして姿勢を正した天音さんは部屋をぐるりと見回してから、コーヒーに口をつける。最初の一口を飲み込むと、今度は物珍しそうな口調で「こんな変なサークルもあるんだね」と言った。それは揶揄いではなく、興味からくるものだった。

そう言われて私も黙っちゃいない。ふふふ、とよくぞ聞いてくれましたと云わんばかりの得意気な顔になった。

「楽しいですよ、"新選組同好会"」

天音さんの視線の先には、ハンガーに掛けられた浅葱色の羽織り。