突然こんな場所までどうしたのかと尋ねると、午前中の撮影が予定よりも早く終わって、マネージャーさんに頼んでそのまま大学まで送ってもらったらしい。

しかし、ひとりで時間を潰すような場所も無く、私に連絡をしたというのだ。これじゃまるで私と天音さんが友達みたいだ。少しだけ胸の内がそわそわする。

「えっと、入りますか?』
「他の人、来たりしない?」
「先輩たちは就活で殆ど昼は大学に居ないので、多分誰も来ないかと」

そう告げると天音さんは少し気を緩めた顔になって「じゃあ少し休ませて」と欠伸を噛み締めていた。きっと朝も早かったのだろう。早く仕事が終わったのなら、自宅に寄って少しでも仮眠してきたら良かったのに。

「先輩たちが置いていったお菓子とか飲み物がありますけど、何かいりますか?」
「コーヒーある?」
「ありますよ。インスタントですけど」
「全然大丈夫」