まぁもし第三者に見られた時に、天音光春はおにぎりと友達だと変な誤解を招きそうだが、私は自分の身が大事である。大丈夫、天音さんはおにぎりと友達でもイケメンだからイメージダウンにはならないはず。むしろ、ギャップ萌えを狙っていける。

それに男女の区別ができない固有名詞だから、我ながら良いアイデアである。自画自賛をしながら、私は天音さんとのトーク画面の中に入った。

「じゃあよろしくお願いします、天音さん」
「ん」
「とりあえず何か適当にスタンプ押しておきますね」

私はぽこんっと音を立てて、トーク画面にスタンプを押す。

それを見て、隣にいた天音さんはふっと笑みを漏らす声が聞こえてきた。

「おにぎりばっかじゃん」
「待って?そんなに笑うところありました?」

てんむすのスタンプに笑っている天音さん。

普段クールな印象であまりテレビや大学でも笑うところを見たことがないからか、彼が頬を緩めて笑っている顔はとても新鮮に感じた。