「あっでも私の名前、本名にしないで下さいよ」
「何で?」
「誰かに見られたら嫌なので」

その代わりに条件を提示する。もし天音さんのメッセージアプリに私の名前「青山三鈴」があって、万が一誰かに見られたらと思うと本名は避けたいところである。

彼は「そこまで徹底する必要ある?」と怪訝な表情をしていたが、するに越したことはないだろう。

「じゃあ何にしたらいいわけ?」
「えー・・・?おにぎり、とか?」
「おにぎり?」

なんでおにぎり?そう言われても、私も分からない。

ただ少し前から頭の隅で明日のおにぎりの具はどうしようかなって考えていた所為か、ふと思い浮かんできた単語がおにぎりだった。

「アンタがそれでいいなら、いいけどさ」
「まぁ、本名以外だったら何でも良いです」
「あっそ」

そう言いながらも本人はあまり納得がいっていないようだっだが、無事に「青山三鈴」から「おにぎり」に変更された。