「あのさ、俺一応アイドルとしてのプライドはあるんだよね」
「・・・そうですね」

危ない。普通に「そうでしょうね」と言いそうになった。

「一般人と週刊誌にすっぱ抜かれるような真似、するワケないでしょ」

「プライベートの管理はしっかりしているから」と、隠しようもない得意顔をしている天音さん。

そして彼は私に手を差し出してくる。

「だから、商法とマクロ会計論」
「ん?」
「ノートとったんたら、写メらせてくれない?」

その瞬間、私は光の速さで理解した。

なるほど、それが本題か。

どうやら天音さんは鼻から私目当てじゃなく、私の授業ノート目当てだったらしい。いや、私目当てはもちろん冗談だけど。

でも、それならそうと早く言ってくれたら昼休み中にでもコピー機まで走ったのに。